|
Vol.82 「直感は、自分のリスクで、自分でススメという合図」
大学生のころ、特にやりたいこともないので、
親が期待する道であった、公認会計士の勉強をすることにしました。
そのときの私の状態が、「やりたいことがなかった」という言葉が適切かはわかりません。
やりたいことはあるだろうけれど、まだ出逢っていないような、あるようでないような、
でも明確にこれと言えるようなことはまったくなく、
チャンスが与えられるのを、ただただ受身で待っているような時期でした。
待っても待っても何も来ないので、ここはひとつ自分から行動しようと、
唯一そのとき見えていた道を歩きはじめたのです。
そのときの決断は、受身の決断。
選択肢を考え、できるという条件で絞込みをかけた結果、
それがたまたま出てきたという感じ。
1年間の猛勉強も甲斐なく、挫折。
努力が足りなかったとか、そういう問題じゃないとはっきり断言できるほどに努力はしましたが、
向いていなかったのか芽が出ませんでした。
問題の意味すらわからず、落ちこぼれていました。
そんなとき、1冊の本に出逢います。
中谷彰宏さんの『大学時代にしなければならない50のこと』。
そこにはこう書いてありました。
「好きでもない勉強をしている人は、勉強していない人以下です。さっさとやめましょう」
「さっさと・・・」というところで、目が飛び出そうになりました。
1年やったのに、さっさとやめられるか?と悩みました。
でももう本当はやりたくない。やめようか、続けようか、1週間。
やめることにしました。
そしたら、心が、すーっと軽くなって、風船のように自由になるのを感じました。
それからは作家になろうと上京。
出版社で働くことになり、中谷彰宏さんの本の編集などをしながら、
大好きな仕事に打ち込みました。
大学生のころの私は、やりたいことがなかったのではなく、
何をやらないかを決められなかったのだと思います。
あれもできる、これもできる、でも決まらない。
絞るということは、いらないものを捨てるということ。
そしたら、だんだん、やりたいことが、手元に残ったのです。
公認会計士の勉強をやめて、上京するあのとき、ピンと直感が走りました。
「これでいいんだ」と、どこから出てくるかわからない、根拠のない自信に満ちていました。
でも、いろんな人に相談しても、
「無謀だ」「大学を卒業してからにしなよ」といろいろ言われました。
でも私は、もう人の意見ばかり聞いてないで、自分の好きなことをしたいと思ったのです。
失敗してもいい。自分が選んだ道だったら。
「短い期間のことであれば、人のアドバイスが正しいこともある。
ただし、長いスパンで考えると、直感のほうが正しいことが多い」と、誰かが言っていましたが、
これは本当だと思います。
自分の長い人生に対して、たまに現れてくれる直感がゴーサインを出したときには、
自分のリスクで、自分でススメという合図だと、私は思っています。
私の経験から。
|