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「反骨の魂」
〜失った栄光から、メジャーリーグへの挑戦〜


今関 勝(いまぜき まさる)
ベースボールコメンテーター

 武相高校をいじめにより1年で中退。翌年県立大楠高校再入学。しかし3年時に、高校野球連盟の規則により、試合に参加できず、クラブチームのウィーンベースボールクラブに所属。
 その後NTT東京を経て、93年にドラフト3位で日本ハムファイターズへ入団。その後ローテーションの一角として活躍、96年にはオールスター戦にも出場、自己最多の11勝をあげた。
 00年に日ハムを解雇され、野球を続けられる環境を探し、アメリカ独立リーグ(メジャーリーグの組織には属さない独自のリーグ)の球団に入団。昨年まで、メジャーリーグのスカウトの目にとまる事を信じ、ひたすら投げ続け、ローテーションの軸になりメジャー昇格も間近と思われたが、家族の事情でアメリカでの活動を断念し、帰国。

現在は、日本のクラブチームで好きな野球を続けながら、「日本のプロ野球」と「メジャーではないアメリカ独自の野球」の両方を経験した事を活かし、講演、文筆活動を中心に、野球の発展に貢献していく。その厳つい風貌とは裏腹な、その心優しさ、そして純粋さに周囲は惹かれる。


Vol. 27 「家族愛で掴んだ銅メダル」

 「気合だ。」で有名なアニマル浜口。娘の浜口京子がオリンピックで銅メダルを獲得した。

 この銅メダルには、浜口京子の頑張りは当然あるが、浜口一家で取った銅メダルだと私は思っている。子供のころから、アニマル浜口が浜口京子を英才教育で鍛え上げた。へとへとになって家に戻ると母親の優しさに救われたと浜口京子が話している。それほど厳しい練習であったのだろう。

 また今回、オリンピック前にスパーリングパートナーを務めたのは、浜口京子の弟であった。体の大きな外国人選手対策として、弟とスパーリングをしていたらしい。

 ファザコン・マザコンと日本では、家族の仲がよいとそういう言葉を使われるが、家族に会話がなく、父親のこと、母親のことを親とも思わない子供とどちらが良いのであろうか?

 中途半端な係わり方では、浜口一家のような団結力は生まれない。家族が仲良く過ごしていくほうが、今の日本のような子供たちによる凶悪犯罪は、減っていくのではないだろうか?

 家族の愛情・他人からの愛情を感じずに成長していくから、子供たちがその寂しさから逃れるため、また自分自身を見失い、私たちの理解できない子供たちになっていくのではないだろうか。日本を変えるためには、まず浜口一家のように家族がしっかりとしていかなくてはいけない。

 浜口京子は、世界大会ではチャンピオンになり、金メダル確実といわれ、オリンピックを迎えた。しかし、金メダルを逃し、銅メダルに終わった。普通であれば、「金メダルを取れなくてすみません。」と謝る選手たちが多い中、この親子は2人揃って笑顔で会見に臨んだ。

 やれるだけのことはやったし、本当にうれしいと言っていた。団体競技ではない、個人競技では、本人が納得すれば、それが1番良いことだと思うし、世界で3位なのだから、誰に恥じることもない。浜口選手のように、胸を張って会見に向かって欲しい。

 団体競技の場合は、チームとしての目標があるので、その目標にに届かなかった時に、喜びを表現することは難しいのかもしれない。

 ある世界規模の大会で、金メダルを逃した時、浜口京子を叱るアニマル浜口がいた。オリンピックでも同様に、また浜口京子を叱るのかと思っていたが、叱るどころか褒めまくっていた。浜口一家にとっては、オリンピックが最終目標だったため、銅メダル獲得も本当にうれしいかったのであったのだろう。また、全力をつくし、やり残したことは何もないということから、自然にあの笑みが生まれたのであろう。

 スポーツ選手は、最終的には自分のために競技をする。責任をとるのも自分しかいないのである。本人の試合に臨むまでの過程、試合前の準備、試合当日、本人が納得すれば、それが1番の頑張りであり、そして達成感があるのである。結果はその後についてくるものだ。

 久々にスポーツというものは、こういうものだと、思い出させてもらう浜口一家の行動であった



<今関 勝講師のコラム バックナンバー>
Vol.26 「アメリカで見た野球を支える人々」
Vol.25 「小泉首相と渡辺オーナー」
Vol.24 「緊張・不安を取り除く方法」
Vol.23 「長崎児童殺傷事件」
Vol.22 「不安と緊張」
Vol.21 「全日本女子バレーボールのチームワーク」
Vol.20 「野球は確率のスポーツ」
Vol.19 「ベテラン」
Vol.18 「済美高校の優勝に関して」
Vol.17 「二人の同級生」
Vol.16 「クラブチームの野球への挑戦」
Vol.15 「独立リーグに学ぶこと」
Vol.14 「いじめ」
Vol.13 「それぞれのキャンプイン」
Vol.12 「3年間のアメリカ生活」
Vol.11 「私の独立リーグ生活から見るアメリカ野球の良さ」
Vol.10 「2度目のAll-Star Gameを終えて」
Vol. 9 「自由と責任」
Vol. 8 「アメリカと日本」
Vol. 7 「夢に向かって」

Vol. 6 「開幕を前に」

Vol. 5 「母の死、そして誓ったアメリカでの活躍 〜独立リーグ奮闘記〜」
Vol. 4 「日ハム解雇 〜野球を続けるためには待っていてはダメだった〜」
Vol. 3 「日ハム入団 〜素質やセンスを気持ちでカバーする〜」
Vol. 2 「プロ野球目指して」
Vol. 1 「高校中退」

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