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「反骨の魂」
〜失った栄光から、メジャーリーグへの挑戦〜


今関 勝(いまぜき まさる)
ベースボールコメンテーター

 武相高校をいじめにより1年で中退。翌年県立大楠高校再入学。しかし3年時に、高校野球連盟の規則により、試合に参加できず、クラブチームのウィーンベースボールクラブに所属。
 その後NTT東京を経て、93年にドラフト3位で日本ハムファイターズへ入団。その後ローテーションの一角として活躍、96年にはオールスター戦にも出場、自己最多の11勝をあげた。
 00年に日ハムを解雇され、野球を続けられる環境を探し、アメリカ独立リーグ(メジャーリーグの組織には属さない独自のリーグ)の球団に入団。昨年まで、メジャーリーグのスカウトの目にとまる事を信じ、ひたすら投げ続け、ローテーションの軸になりメジャー昇格も間近と思われたが、家族の事情でアメリカでの活動を断念し、帰国。

現在は、日本のクラブチームで好きな野球を続けながら、「日本のプロ野球」と「メジャーではないアメリカ独自の野球」の両方を経験した事を活かし、講演、文筆活動を中心に、野球の発展に貢献していく。その厳つい風貌とは裏腹な、その心優しさ、そして純粋さに周囲は惹かれる。


Vol. 47 「漫画ドカベンのような観衆」

 漫画ドカベンといえば、神奈川の明訓高校で個性的な選手が活躍する、水島慎司先生の漫画である。そのドカベンの選手、山田太郎と小さな大投手里中の銅像のある大和引地台球場で、7月21日にある出来事が起こった。

 全国甲子園大会神奈川予選大会での事だった。4回戦屈指の好カード、選抜大会ベスト8の慶応義塾高校対昨年の覇者横浜高校。秋季神奈川県大会で、慶応義塾高校が横浜高校に大逆転をして、そこから勢いに乗り、神奈川準優勝。関東大会に出場し、選抜甲子園大会の出場を決めた。この因縁の対決を見るために、多くのファンが大和引地台球場に足を運んだ。

 第一試合9時30分から試合開始であったが、1番乗りのファンは前日夜9時から並んでいた。試合開始30分後には、入場規制で1000名のファンが試合を見られなかった。球場内も立ち見は勿論の事、通路に座り、外野席も開放したが、それでもファンが入りきれない状況であった。

 1998年、松坂投手擁する横浜高校が国体以来の快挙である。今回は、松坂投手のようなスーパースターがいるわけではなく、純粋にこの好カードを見るためにファンが集まった。

 ゲームは引き締まった好ゲームで、横浜高校川角投手・桜田投手の継投、一方慶応義塾高校は中林投手と投手戦だった。リベンジを果たそうとする横浜高校、春の選抜大会で自信をつけた慶応義塾高校、共に一歩も引かず8回終了2対0で慶応義塾高校リード。9回表横浜高校の攻撃、1アウトからそれまで完璧に抑えられていた主砲福田選手が気合で豪快な一発。2アウトからセンター前ヒットと横浜高校も意地を見せたが、最後は中林投手の踏ん張りもあり、サードに強烈なライナーで試合終了。2−1で慶応義塾高校が勝利した。

 漫画ドカベンでも入場規制が引かれることがあったが、神奈川の野球熱はすばらしいものがある。
 何故、神奈川の高校野球熱が高いのか私なりに考えてみた。

 これは何処の高校野球の予選でもそうなのだが、トーナメント方式で1度負けたら終わりと言う緊張感がある。これだけであれば、他の県大会も同じように観客が入るであろう。

 しかし、神奈川の違うところは、強豪校が多く存在し、レベル的にも高く、力が均衡しているために、高いレベルのチーム同士の試合が見られるため、ファンが多く集まるのであろう。プロのスカウト・大學の監督さんと話をさせていただくと、これほどの課客は神奈川以外ではあり得ないということをよく聞く。

 4回戦・5回戦になるとどの球場もファンが多くなってくる。また地元に愛されている高校が多いため、神奈川の中でも地元意識が芽生えてくるというところもあるようだ。これに加え、神奈川高校野球連盟は、入場料の1部を使用し、各チームへボールの配給を行い、勉強会なども色々なところで行われている。

 当然、何処のチームも勝ちたい気持ちはあるはずだ。しかし、勉強会をすることでどのチームも強くなる。神奈川のレベルが上がればという意識を神奈川の指導者の方々が持っているところもすばらしい。球場も県予選が出来るレベルの球場が11球場あるのも、他の県とは違うところであろう。

 今後、プロ野球・社会人野球・大学野球も何かを学び、それを生かし野球界の繁栄につなげてもらいたい。ファンが喜び、お金を集め、ビジネスとすることは決して悪い事ではないはずである。

 ファン・選手・連盟みんながハッピーになれる形態を今後作っていただきたい。



<今関 勝講師のコラム バックナンバー>
Vol.46 「交流戦を振り返って」
Vol.45 「日本女子ソフトボール1部リーグに学ぶ」
Vol.44 「自信をもつために」
Vol.43 「交流戦から地元密着」
Vol.42 「スポーツ指導者の役割と理想像」
Vol.41 「甲子園を沸かした二人の監督」
Vol.40 「ドリームゲーム」
Vol.39 「メジャーを目指す一人の男」
Vol.38 「謹慎処分」
Vol.37 「準備(過程)」
Vol.36 「考え方で結果は変ってくるもの」
Vol.35 「出逢いと縁」
Vol.34 「北朝鮮の問題に見る国際社会の中での日本」
Vol.33 「最近の若者の犯罪のニュースを見て思う事」
Vol.32 「目的意識を持とう」
Vol.31 「天災に学ぶこと」
Vol.30 「良いパフォーマンスを出すために」
Vol.29 「自信を持って生きる」
Vol.28 「オリンピックを振り返って」
Vol.27 「家族愛で掴んだ銅メダル」
Vol.26 「アメリカで見た野球を支える人々」
Vol.25 「小泉首相と渡辺オーナー」
Vol.24 「緊張・不安を取り除く方法」
Vol.23 「長崎児童殺傷事件」
Vol.22 「不安と緊張」
Vol.21 「全日本女子バレーボールのチームワーク」
Vol.20 「野球は確率のスポーツ」
Vol.19 「ベテラン」
Vol.18 「済美高校の優勝に関して」
Vol.17 「二人の同級生」
Vol.16 「クラブチームの野球への挑戦」
Vol.15 「独立リーグに学ぶこと」
Vol.14 「いじめ」
Vol.13 「それぞれのキャンプイン」
Vol.12 「3年間のアメリカ生活」
Vol.11 「私の独立リーグ生活から見るアメリカ野球の良さ」
Vol.10 「2度目のAll-Star Gameを終えて」
Vol. 9 「自由と責任」
Vol. 8 「アメリカと日本」
Vol. 7 「夢に向かって」

Vol. 6 「開幕を前に」

Vol. 5 「母の死、そして誓ったアメリカでの活躍 〜独立リーグ奮闘記〜」
Vol. 4 「日ハム解雇 〜野球を続けるためには待っていてはダメだった〜」
Vol. 3 「日ハム入団 〜素質やセンスを気持ちでカバーする〜」
Vol. 2 「プロ野球目指して」
Vol. 1 「高校中退」

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