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「反骨の魂」
〜失った栄光から、メジャーリーグへの挑戦〜


今関 勝(いまぜき まさる)
ベースボールコメンテーター

 武相高校をいじめにより1年で中退。翌年県立大楠高校再入学。しかし3年時に、高校野球連盟の規則により、試合に参加できず、クラブチームのウィーンベースボールクラブに所属。
 その後NTT東京を経て、93年にドラフト3位で日本ハムファイターズへ入団。その後ローテーションの一角として活躍、96年にはオールスター戦にも出場、自己最多の11勝をあげた。
 00年に日ハムを解雇され、野球を続けられる環境を探し、アメリカ独立リーグ(メジャーリーグの組織には属さない独自のリーグ)の球団に入団。昨年まで、メジャーリーグのスカウトの目にとまる事を信じ、ひたすら投げ続け、ローテーションの軸になりメジャー昇格も間近と思われたが、家族の事情でアメリカでの活動を断念し、帰国。

現在は、日本のクラブチームで好きな野球を続けながら、「日本のプロ野球」と「メジャーではないアメリカ独自の野球」の両方を経験した事を活かし、講演、文筆活動を中心に、野球の発展に貢献していく。その厳つい風貌とは裏腹な、その心優しさ、そして純粋さに周囲は惹かれる。


Vol. 51 「理念を持ち自分に暗示をかける」

 私のお気に入りの番組は「情熱大陸」だ。前を向きに自分の信念・理念を持ち続け、自分に暗示をかけて生きている人物を取り上げている番組だ。私の大好きな矢沢永吉氏が情熱大陸に出演した中で、すばらしい言葉がいくつもあった。
 
 矢沢永吉氏。広島生まれ。1949年生まれ(56歳)。3歳で母親が家を出、小学校2年生の時に父親が亡くなった。親戚をたらいまわしにされ、祖母に育てられ高校まで卒業させてもらった。その当時から、いつか見ていろという気持ちを持っていたそうだ。

 私はいじめで苦しい思いをし、高校を一度辞めている。その時には地元で白い目で見られた。矢沢氏と同じようにいつか見ていろと言う気持ちだけは強く持っていた。

 「一番の敵は自分の中にある欲。でも欲は無くてはならない物。欲の無い奴はだめ」と矢沢氏は言っている。「緊張・不安も敵でありながら、無くてはならない物」2つの物は似ている物ではないだろうか・・・・・。欲が矢沢氏をスーパースターにしたのだが、いつも欲とは戦っていたのだろう。

 ライブを行う時には、客観的に自分を見ながら、そして自己管理をしっかりと行う。自分に厳しく、人にも厳しく、最高の音を作り上げていく。プロとして出来ない人間は、直ぐに首を切る。プロとしての集団であれば、当然の事であろう。 しかし、この自己管理、客観的にものを見るというのは難しいことである。どうしても、人は情を感じてしまう。矢沢氏がスーパスターになったのも、自己管理・自己マネジメント(イメージ作り)客観的に見れることなどが原因であろう。

 番組の中で27年前のビデオを見ているシーンがあった。27年前の自分を見て、「矢沢が見ているのではなく一人のプロデューサーとしてみれば、この人は確実に売れる。一貫して意志を貫き通している」という言葉があった。この言葉は、客観的に自分を見ている。そしてその後、自己暗示をかけている。(お前は出来る。お前は最高。お前ならやれる。お前には才能がある。お前は星掴む)と言い続けてきたそうだ。

 矢沢氏が信頼し続けた人物にだまされ35億の借金を背負わされた。しかし、彼はここでもプラス思考で乗り切った。人間もがき苦しんでいる時には、自分で「目的を作ればいい」「ニンジンをぶらさげればいい」「そして、そこに向かって進んでいけば良い。」とシンプルに考え、目標を作りそこに進んでいけばよい。夢・目標を達成させるためには、その目標を明確化し、計画を立て、そこに向かって進んでいく気持ちが強いかどうかだ。 

 結局35億の借金は6年で完済したそうだ。
 
 ここで最初の話に戻してしまうが、38年間歌手を続けてきている矢沢氏でさえ、ライブの当日は緊張し、その緊張感が良いと言う。私もプロ生活の中で、先発する時には緊張をし、その緊張感が好きでならなかった。

 現在では、野球ではない物の、講演前には、すごく緊張し、また興奮する。この緊張感が先発の時と同じで、今でも好きでならない。この緊張感が取れた後の開放感、達成感がたまらない。緊張感は悪い物だと考えられるが、緊張が無ければ良い仕事は出来ない。またこの緊張感が好きにならなければ、良い仕事は出来ない。

 この番組を見てから、より心に強く感じたこと。
自己マネジメント能力の開発。理念・信念を持ち続け仕事を続ける。緊張感を持ち続けながら、仕事を続ける。そして、自分を信じ、自己暗示をかけ生きていく。私は色々な仕事をしているが、野球を通じ、「勇気・夢・目標に進んで行き、また掴んでいく。」このような事を伝え、皆様にヒントを与えられればと思う。

 野球界が良い方向に進んでいくように、微力ながら力になれるように今後も頑張って行きたいと思う。





<今関 勝講師のコラム バックナンバー>
Vol.50 「自分の人生は自分で選択する」
Vol.49 「常識って何だろう?」
Vol.48 「躾とは何なのか?」
Vol.47 「漫画ドカベンのような観衆」
Vol.46 「交流戦を振り返って」
Vol.45 「日本女子ソフトボール1部リーグに学ぶ」
Vol.44 「自信をもつために」
Vol.43 「交流戦から地元密着」
Vol.42 「スポーツ指導者の役割と理想像」
Vol.41 「甲子園を沸かした二人の監督」
Vol.40 「ドリームゲーム」
Vol.39 「メジャーを目指す一人の男」
Vol.38 「謹慎処分」
Vol.37 「準備(過程)」
Vol.36 「考え方で結果は変ってくるもの」
Vol.35 「出逢いと縁」
Vol.34 「北朝鮮の問題に見る国際社会の中での日本」
Vol.33 「最近の若者の犯罪のニュースを見て思う事」
Vol.32 「目的意識を持とう」
Vol.31 「天災に学ぶこと」
Vol.30 「良いパフォーマンスを出すために」
Vol.29 「自信を持って生きる」
Vol.28 「オリンピックを振り返って」
Vol.27 「家族愛で掴んだ銅メダル」
Vol.26 「アメリカで見た野球を支える人々」
Vol.25 「小泉首相と渡辺オーナー」
Vol.24 「緊張・不安を取り除く方法」
Vol.23 「長崎児童殺傷事件」
Vol.22 「不安と緊張」
Vol.21 「全日本女子バレーボールのチームワーク」
Vol.20 「野球は確率のスポーツ」
Vol.19 「ベテラン」
Vol.18 「済美高校の優勝に関して」
Vol.17 「二人の同級生」
Vol.16 「クラブチームの野球への挑戦」
Vol.15 「独立リーグに学ぶこと」
Vol.14 「いじめ」
Vol.13 「それぞれのキャンプイン」
Vol.12 「3年間のアメリカ生活」
Vol.11 「私の独立リーグ生活から見るアメリカ野球の良さ」
Vol.10 「2度目のAll-Star Gameを終えて」
Vol. 9 「自由と責任」
Vol. 8 「アメリカと日本」
Vol. 7 「夢に向かって」

Vol. 6 「開幕を前に」

Vol. 5 「母の死、そして誓ったアメリカでの活躍 〜独立リーグ奮闘記〜」
Vol. 4 「日ハム解雇 〜野球を続けるためには待っていてはダメだった〜」
Vol. 3 「日ハム入団 〜素質やセンスを気持ちでカバーする〜」
Vol. 2 「プロ野球目指して」
Vol. 1 「高校中退」

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