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「反骨の魂」
〜失った栄光から、メジャーリーグへの挑戦〜


今関 勝(いまぜき まさる)
ベースボールコメンテーター

武相高校をいじめにより1年で中退。翌年県立大楠高校再入学。しかし3年時に、高校野球連盟の規則により、試合に参加できず、クラブチームのウィーンベースボールクラブに所属。
その後NTT東京を経て、93年にドラフト3位で日本ハムファイターズへ入団。その後ローテーションの一角として活躍、96年にはオールスター戦にも出場、自己最多の11勝をあげた。
00年に日ハムを解雇され、野球を続けられる環境を探し、アメリカ独立リーグ(メジャーリーグの組織には属さない独自のリーグ)の球団に入団。昨年まで、メジャーリーグのスカウトの目にとまる事を信じ、ひたすら投げ続け、ローテーションの軸になりメジャー昇格も間近と思われたが、家族の事情でアメリカでの活動を断念し帰国。

現在は、日本のクラブチームで好きな野球を続けながら、「日本のプロ野球」と「メジャーではないアメリカ独自の野球」の両方を経験した事を活かし、講演、文筆活動を中心に、野球の発展に貢献していく。その厳つい風貌とは裏腹な、その心優しさ、そして純粋さに周囲は惹かれる。


Vol. 64
 「人生の伝道師 美輪明宏氏」

今回は美輪明宏さんについて書いてみようと思います。
今関勝と美輪明宏さん…?
読者の方は、ちょっと意外な組み合わせだと思われるかもしれません。
私も正直な話、今まで美輪さんに関して、
「男の名前で女装をして、何をしているのだろう…?」と思っていました。
しかし、テレビ番組「オーラの泉」を拝見して以来ファンになり、
今では、その発言や考え方に感銘を受けています。

美輪明宏さんは、1935年長崎出身で、10歳のときに長崎で被爆。
本名は丸山臣吾。17歳でシャンソン歌手としてデビュー。
銀座にあった"シャンソンの殿堂"「銀巴里」と契約し、
当時は「銀座に紫のお化けが出る」と話題を集めたそうです。
いわゆる"ビジュアル系"の元祖であり、日本初のシンガーソングライターでもありました。
更に、役者としても活躍。パリでシャンソンをミュージカル風に仕立てたのも美輪さんでした。
作家、講演の講師などもこなし、雑業家(=何でも屋)を自任されています。

美輪さんの考えの底流には日本の歴史的背景があり、
昔のことを取り入れながらも、新しいことを考えて行動されています。
日本には素晴らしい文化があったのに、それを戦時中に全てつぶしてしまった、
それが現在の日本の乱れにつながっている、と危惧されているのです。

美輪さんが執筆なさった『あぁ、正負の法則』(PARCO出版)は、
家内の勧めもあり拝読させて頂きました。
この世界は「正」と「負」に分かれており、「昼と夜」、「日向と陰」、「陰と陽」、
「北と南」、「男と女」、「天使と悪魔」…というように、
地球全体がそうやって正と負のバランスをとっている、と同書の中で仰っています。
確かに、「仰る通り」と思うことが数多く、いくつか文章を部分抜粋させて頂き、
自分に当てはめて考えてみました。


まずは、「努力」に関することについて。

  「"すべて平等"は不平等。
  努力しない人も平等になどと、そんなことはそれこそ不平等です。
  努力しない人も同じ収入で同じ家に住み、同じものを食べる。
  正直者が馬鹿を見ます。
  羨ましいのだったら、妬ましいのだったら、
  自分もそれ以上に努力をすれば報われるのです」


私は高校を中退し、公立高校に入り直し、クラブチームへ行き、
そして社会人チームに入り、プロ野球・日本ハムファイターズへ入団しました。
そしてオールスターゲームへ出場したのですが、29歳で解雇。
アメリカ独立リーグへ渡り、3年プレー後、現役を引退しました。
ところが数年後、マスターズリーグに呼ばれ、また選手として復帰することになります。

公立高校に再入学してからは、必死に練習しました。
自分の夢はプロ野球ですから、他の選手とは違うことをするのは当たり前。
クラブチームにいた時も毎日練習し、そして遊びにも行きたい気持ちも我慢し、
友達から「付き合いが悪い」と言われながらも、野球だけに打ち込みました。
社会人でもそうです。練習は厳しいものでしたが、自主練習のときには課題を持ち、
常に、「どうしたらプロ野球選手になれるか」を考え練習していました。

プロ野球に入ってからは、まだ2軍で勝利もしていないうちから、
「日本ハムのエース、オールスター出場、日本シリーズで登板」を目標に練習していました。
2軍でも浮くことはしょっちゅうでしたが、それも目標を達成するため、と努力を続けました。
夜も外へ遊びにいくこともなく、1軍で投げることだけを目的に頑張りました。

美輪さんの言葉に「努力しなければ現在は無い。待っているだけでもダメ」というのがありますが、
これは、昔も今も私が実践していることです。
努力していれば、いつか自分に返ってくる、と信じ続けています。


次に、「体」「食」について。

  「怠けのつけは体に来る。
  食生活は人間の基本。自分が自分に祟る。全ては食生活から。
  子供が病弱でどうのこうのって、あれは何かの祟りじゃないですか。
  水の代わりにジュースを飲み、ご飯の代わりにお菓子を食べさせ、
  忙しいからカップラーメン。そしてジャンクフード。
  これでは病気になります」


アメリカの独立リーグ時代、私はやはりアメリカの脂っこい食事で太り、体調も悪くなりました。
2年目からは炊飯器、冷蔵庫、レンジを持っていき、
自炊とまではいかないものの、ご飯を炊き、おかずを買ってきて日本食に近い食事をし、
一気に成績が出始めました。
自分の好きなことばかりしていては、当然、そのツケは自分に返ってきてしまいます。
子供の食生活は乱れたために、キレやすい子供、
怪我をしやすい子供が増えてきているのではないでしょうか。
食生活の改善が病気を無くしていくと私は思っています。


「教育」についても、大きく頷かされました。

  「子供を成長させるための技術。
  親子関係で言えば可愛い子には旅をさせろと言うことが今はありません。
  溺愛する親御さんが多い。だから子供が腐ってしまう。
  水をあげたいと思っても、あげないというのは植木を腐らせないための1つの技術なのです。
  また最近は逆に子供に対して非常に冷淡すぎる親も増えてきているようです。
  非常に両極端です。
  それでは行けません中道を行くべきです。常に難しいことですけれども」


先日の講演でも、実は上記の話しを親御さんにしてきました。
過保護・過干渉はいけない。
人生は子供が決めるべきもので、親が決めるものではない。
逆に、「うちは自由に育てている」と言って、育児放棄をする親御さんがいるのも事実です。
無干渉はもっと悪いことですが、こういう親に限って自分に不利なことがあるとしゃしゃり出てくる。
"自由"の意味はき違えているように感じてなりません。


最後に「人生」そのものについて。 

  「世の中の様々な学問、知識、教養、技術を身につけるのは
  辛抱強さと努力で苦しいものです。
  でもその代わりに、世の中の何を観ても、
  どこへ行っても知識と技術があれば退屈しませんし、
  そのうちのどれか、忙しく、食べていくことができますし、
  生き甲斐と自分に対する信頼感と自信に満ち、
  得体の知れない不安や劣等感や焦燥感に襲われず、仕事の可能性も広がり、
  活き活きと充実します。そして同じレベルの人たちとの交際の範囲も広がります」

私も、人生は日々勉強だと思い、今もそれを実行しています。
自分の信念さえ曲げずに生きていけば、いずれお金は後からついてくるものだと思っています。
美輪さんの言葉に、自分の考え方は間違っていない、と自信をもらったような気がします。
私の考えを、今後一人でも多くの方に伝えていき、
一人でも多く人に、「勇気」や「きづき」を感じていただければ嬉しいです。

 



<今関 勝講師のコラム バックナンバー>
Vol.63 「高校生の恐喝事件」
Vol.62 「いじめと自殺」
Vol.61 「息を吐くことの重要性」
Vol.60 「日本が狂いだしている」
Vol.59 「初心を忘れずに」
Vol.58 「何故日本代表が決勝トーナメントに進めなかったか?」
Vol.57 「子供の外遊び」
Vol.56 「スポーツ心理学」
Vol.55 「野球をプレーしていて良かった」
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Vol.29 「自信を持って生きる」
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Vol.17 「二人の同級生」
Vol.16 「クラブチームの野球への挑戦」
Vol.15 「独立リーグに学ぶこと」
Vol.14 「いじめ」
Vol.13 「それぞれのキャンプイン」
Vol.12 「3年間のアメリカ生活」
Vol.11 「私の独立リーグ生活から見るアメリカ野球の良さ」
Vol.10 「2度目のAll-Star Gameを終えて」
Vol. 9 「自由と責任」
Vol. 8 「アメリカと日本」
Vol. 7 「夢に向かって」

Vol. 6 「開幕を前に」

Vol. 5 「母の死、そして誓ったアメリカでの活躍 〜独立リーグ奮闘記〜」
Vol. 4 「日ハム解雇 〜野球を続けるためには待っていてはダメだった〜」
Vol. 3 「日ハム入団 〜素質やセンスを気持ちでカバーする〜」
Vol. 2 「プロ野球目指して」
Vol. 1 「高校中退」

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