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〜できる人が備える〜
「勝利のための発想法」


生井 利幸(なまい としゆき)

生井利幸事務所代表

明治大学大学院 法学研究科 公法学専攻 博士前期課程修了。
米ペンシルベニア州ラフィエット大学講師、
オランダ王国国立フローニンヘン大学法学部客員研究員等を歴任。
11年の海外生活において主にアメリカの大学で教鞭を執る一方、在ニューヨークの企業を中心に法務・経営・ビジネス戦略に関するコンサルティングを行う。
2003年、日本に帰国。現在、作家として多方面において執筆・講演等を行う。


Vol.15
経営者の心得
・・・ビジネスの達人は、"他人を泳がせる器量"を備えている

  ビジネスを成功させることができるかどうかの分かれ道は、「泳ぐ」ことだけでなく、「泳がす」ことができるかどうかにかかっていると、私は考える。

 たとえば、ある施設のプールで、自らがプールに入りそこで精一杯泳ぐその姿は、健康的で、かつ、美しい行為である。自分の意志で水の中に入り、そこで泳ごうとするその姿からは、「積極的に泳ごう」とする"本人の前向き思考のパワー"を感じることができる。

 通常、単細胞の人、つまり、世の中を客観視できない人、ビジネスの仕掛けを考える器量のない人は、これだけで満足する。しかし、この複雑極まりない社会構造の中で、「何らかの仕掛けを考え、独自のビジネスを展開したい」と考える人はこの限りではない。そうした人は、言うまでもなく、自分がプールで泳ぐだけでなく、他人を「泳がす」ことをも考える。

 「泳がす」という"仕掛け"を実践することは、簡単なようで、結構難しい。健康促進のために近所の住人がやってくる公共施設のプールであれば、大した仕掛けを考えなくても適当に人が訪れ「泳がす」ことはできる。

 しかし、いわゆる営利追求を目的とする遊園地、その他のレジャー施設が運営するプールの場合、ただ大きなプールに水を入れておくだけでは、たくさんの客を満足させることは不可能である。訪問者を大満足させ、またリピーターとして戻って来てもらうためには、それなりの思索を通して趣向を凝らし、「エンターテイメント性のある様々な仕掛け」を提供することが必要となる。言うなれば、流れるプールや波の出るプールがその代表的な例であるが、近年においてはこれだけでは決して勝負にはならない。

 思うに、ビジネス社会においては、来る日も来る日も会社組織で与えられたことだけをただ黙々とやっているだけの人は、"ビジネスパーソンとしての先は見えている"と言わざるを得ない。与えられたことを真面目にやるその姿は確かに美しい姿であるが、そこには何らの「独自性」「独創性」もみられない。

 私は、ビジネスで成功する人は、まず、この「独自性」や「独創性」に優れているということが第一条件となると考える。まさに、「自分で何か新しい商品・サービスを作ってみよう」「新しい商品・サービスを作って、他社には見られない"独自の仕掛け"を考え、市場においてダイナミックに勝負しよう」という発想を持てるかどうかで、ビジネスパーソンとしての将来像が大きく変わっていくといえるのだ。

 結局、ビジネスにおいてもプライベートライフにおいても、(1)「泳ぐ技術」だけでなく、より広い視野から世の中における社会風潮を達観し、(2)「泳がす技術」、つまり、「スマートに人や組織を動かす技術」が必要となるのだ。自分で泳ぐか、それとも、他人に泳がすか、というチョイスは、その時その時の状況に応じて使い分け、柔軟な発想の下で判断していくことがポイントとなろう。

 会社経営者の中には、「一時が万事において、すべてを自分でしなければ気が済まない」という経営者もいる。裸一貫で会社を立ち上げ、少しずつビジネスを大きくしていった会社の経営者には、このタイプの人が相当数いることは周知の事実である。

 「細部にわたり自分で指揮・監督しなければ気が済まない」という、経営者が持つその情熱はわかる。思うに、僅か数人でやっている会社であればそれでもいいだろう。しかし、裸一貫でスタートさせた会社を、50人、あるいは100人以上の社員を抱えるまでの会社に成長させたならば、ある時期からは、細かい指揮・監督は担当部署のトップに任せ、自分は経営者として組織全体の経営・管理に注意を払うべきである。なぜならば、そうしたほうが、部課長などの幹部社員がよりダイナミックに育ち、組織自体も、「より頑丈な組織」として成長させることができるからだ。

まさに、経営者としての器量は、「泳がす技術」を備えているかどうか にかかっている


<生井 利幸講師のコラム バックナンバー>

VOL.14 「できる管理職は業務命令を下すのがうまい」

VOL.13 「トップライナーが駆使するビジネス・コミュニケーション術」

VOL.12 「一連のIT革命が癒した<負の遺産>」

VOL.11 「プロのエンターテイナーから学ぶ 自己表現を高める方法」

VOL.10 「セールスの達人は<1秒のリズム>で勝負する」
VOL.9 「経営者はCSRの執行者でなければならない」

VOL.8 「<お茶目な人>がビジネスを成功させる」

VOL.7 「給料は、貰うものか、それとも稼ぐものか?」
VOL.6 「日本人は常に<組織の名前>にしがみつく」
VOL.5 「スーツの買い方でわかる意思決定のスマートさ」
VOL.4 「勝ち組人生」とは?
VOL.3 「上司の力量次第で部下の仕事ぶりが決まる」
VOL.2 日本人がアメリカ人から学ぶべき「ビジネスにおける“心の余裕”」
VOL.1 「現実」を踏まえた上で一歩一歩確実に歩む人が、仕事人生を成功させる
 
 

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