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Vol.16
契約社会アメリカの実態は“交渉社会”である
アメリカのビジネス社会は、言うまでもなく「契約社会」である。アメリカでは、すべてのビジネスは契約で成り立ち、その一つひとつのビジネスは契約に基づいて遂行されている。
一般に、アメリカでは、「契約なきビジネスはビジネスではない」と考えられている。契約書の役割とは、承知のように、ビジネスをどのようなルールの下で遂行するのかを定める約束事である。したがって、どのような企業においても、この契約書を、自分たちにとって望ましい内容にするべく、作成するプロセスにおいて非常に神経を使っている。
アメリカのほとんどの企業において、ビジネス・パートナーとの約束事をリーガライズするために、できるだけ優れた「交渉術」(ネゴシエーション・スキル)を駆使し、自分の会社にとってより有益な契約書を作るために相当なエネルギーが注がれている。
だが、一言で「交渉」といっても、それは単なる交渉ではない。求められる交渉術とは、いかなる状況においても(1)「妥当性のある交渉」ができること、そしてそれは、(2)「説得力のある交渉」であることが求められるのだ。
当然のことであるが、妥当性のある交渉をするためには、交渉をする人自身が、「妥当性のあるビジネス・スキーム」を備えていなければならない。
具体的に述べるならば、これまで代表的なアメリカの企業経営者が駆使した交渉術を振り返ってみると、このことが良く理解できる。フォード・モーターの創業者であるヘンリー・フォード、アメリカ最大の鉄鋼王として知られるアンドリュー・カーネギー、ウォルマート・ストアーズの創業者であるサミュエル・ムーア・ウォルトンなど、大財閥を作り上げた経営者は皆、「優れたネゴシエーション術」、そして、「他のライバル企業を圧倒するスピーチ術」を備えていたのだ。
アメリカのビジネスは、「すべてが交渉で始まり、交渉で終わる」と解することができる。これを別の表現で言うならば、「いかなる企業体においても、"優れた交渉力"がなければ理想的なプロジェクトをスタートするための契約を結べない」ということである。
日本では、「アメリカは契約社会である」と考えられている。
しかし、実質的に述べるならば、アメリカは契約社会というよりも、実は「交渉社会」であるわけだ。
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