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〜できる人が備える〜
「勝利のための発想法」


生井 利幸(なまい としゆき)

生井利幸事務所代表

明治大学大学院 法学研究科 公法学専攻 博士前期課程修了。
米ペンシルベニア州ラフィエット大学講師、
オランダ王国国立フローニンヘン大学法学部客員研究員等を歴任。
11年の海外生活において主にアメリカの大学で教鞭を執る一方、在ニューヨークの企業を中心に法務・経営・ビジネス戦略に関するコンサルティングを行う。
2003年、日本に帰国。現在、作家として多方面において執筆・講演等を行う。


Vol.35 コミュニケーションと川の水の流れ

 先日、都内のホテルにて某企業主催の講演を行いました。タイトルは「毎日楽しく仕事をするコツ」です。

 このタイトルは実にシンプルですが、改めてこの問題を考えてみると、このことを大勢の人々、しかも、社会経験が豊富な人々の前で話をするのは結構難しいと感じます。

 講演では、たくさんの具体的事例を紹介しながら話を進めていきましたが、最後には、「川の水の流れ」について話をしました。想像するに、これを読んで、「"川の水"、一体何のことですか?」と感じた人もいるでしょう。

 当たり前ですが、「川の水」は、常に、絶え間なく流れています。今、あなたがどこかの川を訪れ、上流から流れてくる水の前に立ったと仮定します。説明するまでもなく、川の水は、上流から下流にどんどんと流れていきます。上流から流れてくる水は、あなたの目の前を通り過ぎ、下流に向かってどんどんと流れてきます。

 つまり、新しい水は、上流から絶えることなく流れてきますが、一方において、あなた自身は、今、目の前にする水を再び目にすることはありません。目の前の水は、「今この瞬間のみ見ることができる水」、即ち、「今この瞬間のみ経験できる水」なのです。

 これは、いわゆる仏教・禅宗における「無常観」の境地でもありますが、私は、この考え方をそっくりそのまま「毎日楽しく仕事をするコツ」として応用できると捉えています。

 思うに、どんな仕事においても、必ずといっていいほど、人とのコミュニケーションが伴います。コミュニケートする相手は、大きく分けると、1)「社内の人」、そして、2)「顧客・取引先の人」に分けることができます。会社で自分がどんな役割・責任を持っていようとも、毎日、色々な人を相手にコミュニケーションを図りながら仕事を進めていくものです。

 コミュニケーションを図る中、「この人、素敵だな!」と思うこともあれば、「こんなヤツを相手に話などしなくない」と思うこともあるでしょう。性格や個性は人によって違いますので、このような感情を抱くことは、"生身の人間"としてのごく自然な現象といえます。

 ステレオタイプな考え方をすると、大抵の人の場合、嫌な人とやり取りをするのは"苦痛"になるものです。しかし、仕事である以上、結局、「相手を好きか嫌いか」という問題と関係なく、どんな相手とも妥当なコミュニケーションを図る必要性があります。そうであるならば、相手がどんな人であろうとも、「すべてのコミュニケーションを楽しんでしまおう」という発想法を持つことも、一つの立派な"仕事術"になると思うのです。

 人とのコミュニケーションは、まさに、「川の水の流れ」と同じです。一つひとつのコミュニケーションは、「相手の人とコミュニケートする"その時"」に楽しむことが大切であり、そうしたスタンスを日々の業務において実践していけば「仕事自体の価値」もどんどんと高まっていくものです。コミュニケーションという代物は、その時に楽しむことなく後になって楽しもうとしても、その「機会」「時間」は過ぎ去ってしまっていますね。

 今、会っている相手との機会・時間は、まさに「今」しかないのです。だからこそ、今を大切にして、その時その時において、仕事で関わる人々とできる限り価値ある時間を共有しようとする発想法が生きてくるのだと思います。

 「常に今を楽しむ」。
 このような考え方を持って仕事をすると、毎日、充実した仕事をすることができるのだと考えます。


<生井 利幸講師のコラム バックナンバー>

VOL.34 「講演先での素晴らしい出会い」
VOL.33 「スピーチの達人は皆、"役者顔負けのパフォーマンス"で話を進める」
VOL.32 「緊張しない話し方の極意
VOL.31 「ニューヨークのビジネス社会は"人類愛"に満ちている
VOL.30 「東京都葛飾区の公開講座で感じる社会人受講生のパワー
VOL.29 「コミュニケーション力”・“哲学”・“心”の融合が、会社を大きく成長させる」
VOL.28 「"キャッチボール型の会話"をしていますか?」

VOL.27 「「個」を重要視する経営者の精神、個々の社員の精神」

VOL.26 「「哲学」「理念」を養う社員教育の必要性」

VOL.25 「地域社会発展の実現は「真心」にあり」

VOL.24 「コミュニケーションは一体何のためにあるのか?」

VOL.23 「人の顔の表情は、自分の顔の表情の顔である」

VOL.22 「ニューヨークでは、肌の色よりも<チャレンジ精神>が台頭する」
VOL.21 「話上手 グレート・コミュニケーターの本音」
VOL.20 「<裸の王様>になってはいけない」
VOL.19 「<哲学><コミュニケーション><ビジネス>における相関関係」
VOL.18 「<言葉の管理>に優れている人が信用を築く」

VOL.17 「堂々と客に啖呵を切る魚屋の<交渉術>」

VOL.16 「契約社会アメリカの実態は“交渉社会”である」
VOL.15 「経営者の心得・・・ビジネスの達人は“他人を泳がせる器量”を備えている」
VOL.14 「できる管理職は業務命令を下すのがうまい」

VOL.13 「トップライナーが駆使するビジネス・コミュニケーション術」

VOL.12 「一連のIT革命が癒した<負の遺産>」

VOL.11 「プロのエンターテイナーから学ぶ 自己表現を高める方法」

VOL.10 「セールスの達人は<1秒のリズム>で勝負する」
VOL.9 「経営者はCSRの執行者でなければならない」

VOL.8 「<お茶目な人>がビジネスを成功させる」

VOL.7 「給料は、貰うものか、それとも稼ぐものか?」
VOL.6 「日本人は常に<組織の名前>にしがみつく」
VOL.5 「スーツの買い方でわかる意思決定のスマートさ」
VOL.4 「勝ち組人生」とは?
VOL.3 「上司の力量次第で部下の仕事ぶりが決まる」
VOL.2 日本人がアメリカ人から学ぶべき「ビジネスにおける“心の余裕”」
VOL.1 「現実」を踏まえた上で一歩一歩確実に歩む人が、仕事人生を成功させる
 
 

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