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〜できる人が備える〜
「勝利のための発想法」


生井 利幸(なまい としゆき)

生井利幸事務所代表

明治大学大学院 法学研究科 公法学専攻 博士前期課程修了。
米ペンシルベニア州ラフィエット大学講師、
オランダ王国国立フローニンヘン大学法学部客員研究員等を歴任。
11年の海外生活において主にアメリカの大学で教鞭を執る一方、在ニューヨークの企業を中心に法務・経営・ビジネス戦略に関するコンサルティングを行う。
2003年、日本に帰国。現在、作家として多方面において執筆・講演等を行う。


Vol.37 “忙しい”を言う・言わない?

 私は以前、自分の本で、「“忙しい”という言葉を言わない人間になろう」という趣旨のことを書いたことがあります。

 皆さんも同じように感じると思いますが、この“忙しい”という言葉は、毎日、至る所で耳にする言葉ですね。そして、世の中のほとんどの人々が、「いやー、忙しくて大変です」というような趣旨の言葉を毎日言っていますね。

  しかし、よく考えてみると、きちんと仕事をしている人が忙しいのは当たり前。逆に考えれば、仕事をしている最中において、忙しくない人(つまり暇な人)を見つけるほうが困難であると思います。

  だからこそ、本当に仕事ができる人は、「“忙しい”を言わない。“忙しい”という言葉を言っても何の意味もない」と考えるわけです。そして、“忙しい”という言葉を頻繁に使う人は、この“当たり前のこと”を何度も言って「他人の心を不快にする人」でもありますね。

  今回のコラムでは、この考え方を180度逆に考えて捉えてみようと思います。それは一体どういうことかといいますと、「この“忙しい”という言葉は、実は、上手に人様や世間に言っていったほうが効果的である」という捉え方をするということです。

  自分をアピールすることがうまい人は、言葉の使い方において、常にタイミングを考える人でもありますね。具体的に言えば、仕事で成功する人が備えている共通点の一つは、「顧客に対して自分をどう感じさせるか」がうまい人です。

  即ち、本当に仕事ができる人は、自分の忙しさ(仕事における充実ぶり)を“自然な形”で周囲に漂わせることがうまい人でもあります。忙しいときこそ、その忙しさ(充実ぶり)を上手にアピールし、「自分は今、絶好調である」ということを周囲に感じさせます。

  するとどうでしょう。世の中というものは、面白い代物です。そうしていると、今、十分すぎるほど仕事があるのに、それに加えて、さらに新規の仕事が入ってきます。その理由は簡単です。「依頼者側は大抵、“絶好調の相手”に仕事を頼みたい」と考えるからです。

  では、このことをわかりやすい具体例で説明しましょう。例えば、魚屋で言うならば、商売が上手な魚屋は、客の前では常に“忙しいふり”をします。かりに客が一人であっても、その客の前であちこち歩いたり、奥で切れ味のいい包丁でダイナミックに魚をさばいたりします。そうすることで、客が一人でも、その客は、「この店はいつも忙しくしている。だから、魚も新鮮で美味しいに決まっている」というポジティブな印象を抱きます。

  このような魚屋は、その日に売るべき商品はその日に売り切り、在庫を抱えません。魚屋の場合、基本的に、「在庫を抱える」という状態にプラスの要因はありませんね。魚という商品は、新鮮でなければ売れる商品ではなくなるわけですから、在庫を抱えれば抱えるほど、儲けどころか、赤字に転落していきます。

  今度は、ラーメン屋を例にして考えてみます。ラーメン屋の場合、人気のあるラーメン屋が備える共通点は、「店の雰囲気が忙しく見える店である」ということです。店に客が何人入っていようとも、あるいは、客がいない時間帯であっても、「常に忙しく見える店」「店員の顔の表情が常にイキイキしている店」には客が躊躇なく入ります。

  逆に言えば、道を歩きながらいつ店内をのぞいても、「店員が玄関口ばかり見ている店」は駄目ですね。店員がぼっーとした表情で玄関口ばかり見ていると、まるで「暇なんだよなー。早く客が来ないかな!」と頭の中で考えているかのようです。そして、店員の顔の表情から外を歩く人がそう感じてしまうと、かなり高い確率で、それを見た人が(店の様子をのぞくことはあっても)店に入ることはないでしょう。

  私の家の近くに、店内からいつも玄関口ばかり見ている店員がいるラーメン屋がありました。その店は、案の定、私がいつ店内をのぞいても、店の中に客がいませんでした。そして、その店は、開店後、僅か半年ほどで姿を消しました。

 ここで最初の話に戻りますが、このことは、「周囲の人々や世間に対して“忙しい”を上手に感じさせる人が成功する」という考え方と同じ原理だと言うことができるのではないでしょうか。結局、この言葉は、使いようで、それなりの費用を出して宣伝をするより抜群の効果があるように感じます。読者の皆様はどのように感じましたか。



<生井 利幸講師のコラム バックナンバー>

VOL.36 「愛情あるコミュニケーションが、仕事のクオリティーを大きく変える」
VOL.35 「コミュニケーションと川の水の流れ」
VOL.34 「講演先での素晴らしい出会い」
VOL.33 「スピーチの達人は皆、"役者顔負けのパフォーマンス"で話を進める」
VOL.32 「緊張しない話し方の極意
VOL.31 「ニューヨークのビジネス社会は"人類愛"に満ちている
VOL.30 「東京都葛飾区の公開講座で感じる社会人受講生のパワー
VOL.29 「コミュニケーション力”・“哲学”・“心”の融合が、会社を大きく成長させる」
VOL.28 「"キャッチボール型の会話"をしていますか?」

VOL.27 「「個」を重要視する経営者の精神、個々の社員の精神」

VOL.26 「「哲学」「理念」を養う社員教育の必要性」

VOL.25 「地域社会発展の実現は「真心」にあり」

VOL.24 「コミュニケーションは一体何のためにあるのか?」

VOL.23 「人の顔の表情は、自分の顔の表情の顔である」

VOL.22 「ニューヨークでは、肌の色よりも<チャレンジ精神>が台頭する」
VOL.21 「話上手 グレート・コミュニケーターの本音」
VOL.20 「<裸の王様>になってはいけない」
VOL.19 「<哲学><コミュニケーション><ビジネス>における相関関係」
VOL.18 「<言葉の管理>に優れている人が信用を築く」

VOL.17 「堂々と客に啖呵を切る魚屋の<交渉術>」

VOL.16 「契約社会アメリカの実態は“交渉社会”である」
VOL.15 「経営者の心得・・・ビジネスの達人は“他人を泳がせる器量”を備えている」
VOL.14 「できる管理職は業務命令を下すのがうまい」

VOL.13 「トップライナーが駆使するビジネス・コミュニケーション術」

VOL.12 「一連のIT革命が癒した<負の遺産>」

VOL.11 「プロのエンターテイナーから学ぶ 自己表現を高める方法」

VOL.10 「セールスの達人は<1秒のリズム>で勝負する」
VOL.9 「経営者はCSRの執行者でなければならない」

VOL.8 「<お茶目な人>がビジネスを成功させる」

VOL.7 「給料は、貰うものか、それとも稼ぐものか?」
VOL.6 「日本人は常に<組織の名前>にしがみつく」
VOL.5 「スーツの買い方でわかる意思決定のスマートさ」
VOL.4 「勝ち組人生」とは?
VOL.3 「上司の力量次第で部下の仕事ぶりが決まる」
VOL.2 日本人がアメリカ人から学ぶべき「ビジネスにおける“心の余裕”」
VOL.1 「現実」を踏まえた上で一歩一歩確実に歩む人が、仕事人生を成功させる
 
 

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