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〜できる人が備える〜
「勝利のための発想法」


生井 利幸(なまい としゆき)

生井利幸事務所代表

明治大学大学院 法学研究科 公法学専攻 博士前期課程修了。
米ペンシルベニア州ラフィエット大学講師、
オランダ王国国立フローニンヘン大学法学部客員研究員等を歴任。
11年の海外生活において主にアメリカの大学で教鞭を執る一方、在ニューヨークの企業を中心に法務・経営・ビジネス戦略に関するコンサルティングを行う。
2003年、日本に帰国。現在、作家として多方面において執筆・講演等を行う。


Vol.41 トイレでの会話が人の心を掴む

 トイレは、一種独特の雰囲気を持った空間です。オフィスの中で自分の上司、部下、同僚と接する際には上手にコミュニケーションが図れても、偶然にトイレで人と会うと、コミュニケーションがスムーズに図れないこともありますね。

「トイレに行く」という行為は本来、通常業務ではないので、普通の常識を持っている人であれば、トイレはほんの数分で済まし、慌しく自分の席に戻るものです。

会社での勤務経験が長い人の場合は、トイレに行く時の顔の表情など気にすることはないでしょう。しかし、入社一年目の社員、あるいは、職場の雰囲気に不慣れな派遣社員やアルバイトの場合、勤務時間中に仕事を中断してトイレに行くという行為は、程度の差こそあれ、ある意味、緊張する行為であるに違いありません。

 今回は、「トイレにおける会話の重要性」についてお話したいと思います。通常、どんなビジネスパーソンでも、「オフィスでの会話に重きを置く」ということを考えると思いますが、私は、これに加えて、「トイレでの会話にも重要な意味がある」と捉えています。「トイレでバッタリ会った相手とのコミュニケーションをいかにマネージするか」、これは、組織人として極めて大切な問題なのです。

この問題を考える時、まず第一に、「トイレの中が広いか狭いか」ということも考慮に入れる必要がありますね。トイレの中が狭い場合、そこで話をするどころか、早々とそこを出なければ、他の人の迷惑になる場合もあります。しかし、ある程度、スペースに余裕があるトイレの場合、そこで人と会った時、“社内コミュニケーション術”の一環として、そこでの話し方・振舞い方について考える必要性が出てきます。

これを読む読者の皆さんは、トイレの出入り口や洗面台付近において、上司、部下、あるいは、同年代の同僚とバッタリ会った時、一体どのようなコミュニケーションを図っているでしょうか。

一般的に考えられるコミュニケーションといえば、「簡単な挨拶をする」ということでしょう。しかし、ここで考えていただきたいことは、それだけで十分であるかどうか、という問題です。

言うまでもなく、職場における挨拶は、社内コミュニケーション術に内在する基本中の基本です。そして、今、考えていただきたいことは、トイレという場所でも、1)「どんな挨拶をするか」、2)「どんなコミュニケーションを図るか」で、社内における人間関係が劇的に変わるというその事実です。

大抵の場合、会社のトイレの中で人と会うと、一言二言、簡単な挨拶をしてすぐに立ち去るでしょう。しかし、ここで発想法を変え、たった一言二言だけではなく、短くも長くもない“程よい雑談”をしてみることを提案します。

例えば、トイレの洗面台付近において、そこでバッタリと会った相手と、数分程度、屈託のない雑談をすることにより、ほとんどの場合、その相手との信頼関係がかなり増大すると思って間違いありません。

今ここで、過去において、あなた自身が会社のトイレの中で経験したことを思い出してみてください。洗面台付近で会った相手が人格者あればあるほど、「そこまで気を使わなくてもいいのに!」と思うほど、その狭い空間の中で、実に気の利いたコミュニケーションを図ろうとするのではないでしょうか。その相手が“いい人”であればあるほど、自分に優しく話しかけてくれるではないでしょうか。

概して、トイレでバッタリ会った相手が、社長や重役である場合、その本人が「一個の人間としての人格」に優れている人であればあるほど、職位に関係なく、実に気さくな雰囲気で話しかけてくれるものです。「偉い人ほど謙虚である」というセオリーは世界共通です。そして、日本でも例外なく、(肩書きではなく)“一個人”として本当に偉い人ほど、他人に対して実に良く気を使う人です。

このような話の流れで言えることは、「社長とトイレでバッタリ会うと、話が長くて困るんだよね!」という会話が社員同士の間で出る会社の社長は、社員が想像する以上に、社員に対する愛情に満ち溢れた経営をしていると思って間違いないということです。

トイレでの会話・・・、今一度、原点に戻ってこの重要性について考えてみてください。「トイレでの会話にこそ、一個人としての人格が表象される」と、私は捉えます。





<生井 利幸講師のコラム バックナンバー>

VOL.40「打ち合わせにおける笑顔の意味」
VOL.39「労働の価値の重さ」

VOL.38「アメリカ人の方便、日本人の方便」

VOL.37 「‘忙しい’を言う? 言わない?」
VOL.36 「愛情あるコミュニケーションが、仕事のクオリティーを大きく変える」
VOL.35 「コミュニケーションと川の水の流れ」
VOL.34 「講演先での素晴らしい出会い」
VOL.33 「スピーチの達人は皆、"役者顔負けのパフォーマンス"で話を進める」
VOL.32 「緊張しない話し方の極意
VOL.31 「ニューヨークのビジネス社会は"人類愛"に満ちている
VOL.30 「東京都葛飾区の公開講座で感じる社会人受講生のパワー
VOL.29 「コミュニケーション力”・“哲学”・“心”の融合が、会社を大きく成長させる」
VOL.28 「"キャッチボール型の会話"をしていますか?」

VOL.27 「「個」を重要視する経営者の精神、個々の社員の精神」

VOL.26 「「哲学」「理念」を養う社員教育の必要性」

VOL.25 「地域社会発展の実現は「真心」にあり」

VOL.24 「コミュニケーションは一体何のためにあるのか?」

VOL.23 「人の顔の表情は、自分の顔の表情の顔である」

VOL.22 「ニューヨークでは、肌の色よりも<チャレンジ精神>が台頭する」
VOL.21 「話上手 グレート・コミュニケーターの本音」
VOL.20 「<裸の王様>になってはいけない」
VOL.19 「<哲学><コミュニケーション><ビジネス>における相関関係」
VOL.18 「<言葉の管理>に優れている人が信用を築く」

VOL.17 「堂々と客に啖呵を切る魚屋の<交渉術>」

VOL.16 「契約社会アメリカの実態は“交渉社会”である」
VOL.15 「経営者の心得・・・ビジネスの達人は“他人を泳がせる器量”を備えている」
VOL.14 「できる管理職は業務命令を下すのがうまい」

VOL.13 「トップライナーが駆使するビジネス・コミュニケーション術」

VOL.12 「一連のIT革命が癒した<負の遺産>」

VOL.11 「プロのエンターテイナーから学ぶ 自己表現を高める方法」

VOL.10 「セールスの達人は<1秒のリズム>で勝負する」
VOL.9 「経営者はCSRの執行者でなければならない」

VOL.8 「<お茶目な人>がビジネスを成功させる」

VOL.7 「給料は、貰うものか、それとも稼ぐものか?」
VOL.6 「日本人は常に<組織の名前>にしがみつく」
VOL.5 「スーツの買い方でわかる意思決定のスマートさ」
VOL.4 「勝ち組人生」とは?
VOL.3 「上司の力量次第で部下の仕事ぶりが決まる」
VOL.2 日本人がアメリカ人から学ぶべき「ビジネスにおける“心の余裕”」
VOL.1 「現実」を踏まえた上で一歩一歩確実に歩む人が、仕事人生を成功させる
 
 

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