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〜できる人が備える〜
「勝利のための発想法」


生井 利幸(なまい としゆき)

生井利幸事務所代表

明治大学大学院 法学研究科 公法学専攻 博士前期課程修了。
米ペンシルベニア州ラフィエット大学講師、
オランダ王国国立フローニンヘン大学法学部客員研究員等を歴任。
11年の海外生活において主にアメリカの大学で教鞭を執る一方、在ニューヨークの企業を中心に法務・経営・ビジネス戦略に関するコンサルティングを行う。
2003年、日本に帰国。現在、作家として多方面において執筆・講演等を行う。


Vol.45 日本経済が必要とする若いビジネスパーソンよ、“しっかり前に進め!”


今回は、日本人ビジネスパーソンが陥り易いある種の勘違いについて述べたいと思います。
本稿では、特に、20代、30代のビジネスパーソンに対して「心からの応援」という趣旨で述べていきます。

あなたが仕事で初対面の人と会うときに一番最初に行うことは、言うまでもなく、挨拶と名刺交換です。
あなたが相手に名刺を渡すことにより、
あなたの組織、所属部署、職責などが一目瞭然で相手にわかります。
そうした観点から言えば、名刺は、本当に便利なツールです。

でも、名刺は、ある意味で、人に対して「勘違い」させる代物でもあります。
これを読む人の中には、「えっ、勘違い?」「どういうことですか?」と聞きたくなる人が多いと思います。
ここで述べる勘違いとは、名刺を受け取る相手が抱く勘違いではなく、
「名刺を渡す本人そのものによる勘違い」です。

名刺は便利ですが、名刺は、その認識を誤ると、「相手に名刺を渡しさえすれば、
それで自己紹介は済む」という勘違いを起こします。このことは、上場企業の社員、
あるいは、誰でも知っている名のある組織で働いている人に頻繁に起こることです。

例えば、日本のどこへ行っても、誰でも(子供でも)知っている大会社で働いている人の場合、
「わたくし、・・株式会社の・・と申します」と言って名刺を出せば、大抵は、それで通用します。
その本人が、若手社員、いや、たとえ新入社員であっても、会社の名前が書かれた名刺を出せば、
相手が初対面の人であっても、“有名な会社で働く人”という事実のみで、大抵は信用してくれます。

ところが、個人経営の会社、あるいは、小規模の会社の場合、名刺を出す本人が社長であっても、
相手が自分の会社の名前・存在を知らない限り、
相手に対してかなり丁寧に会社の概要と業務内容について説明しないと、
その相手はなかなか信用してくれないものです。

ここで一つ考えてみてください。
大企業で働くあなたの場合、仕事で初めて会う相手に名刺を渡すとき、
会社の名前における“知名度”に便乗していませんか。

本当に仕事ができるビジネスパーソンは、自分が属する組織の知名度に関係なく、
初めて接する相手に対して、「心を込めて、そして、丁寧に接する」ということを
ビジネスコミュニケーションにおけるモットーとしていることが多いでしょう。
その理由は、できるビジネスパーソンは、それなりの実務経験を通して、
「仕事は、会社の名前にタダ乗りして行うものではなく、自分自身の器量・力量で行うもの」という理屈を、
厳しいビジネス社会で積み重ねた“実際の経験”を通して実感・認識しているからです。

大企業で働く人は、数百億円規模の社会貢献度の高い大規模なプロジェクトに携わったり、
業務上、個人では到底持ち得ない多額のカネを扱ったりすることは日常茶飯事です。
40代、50代になると、大抵の人は、「自分は会社の存在があって初めて、
この仕事に携わることができるのだ」という“事実”に気づいています。
しかし、その一方、人生経験の浅い20代、30代の人は、
例えば、「私は10億のカネを動かしている」という“勘違い”をします。
少し考えればすぐにわかることですが、10億のカネに関わる仕事をしていても、
それはあくまで会社の業務として扱っているカネ。
もっとはっきりと言えば、“会社の歯車”としてそれを扱っているだけのこと。そうであるにもかかわらず、
人によっては、まるで、「自分だけの裁量で巨額のカネを動かしている」という思い込みをすることが
しばしば起こります。

通常、このような勘違いをする人は、会社で働いているその期間は、
このことを勘違いであると気づくことはありません。
しかし、やがて、ある時期が来てその会社を辞めると、この勘違いに気づくのです。
会社を辞めて“一個人”となったとき初めて、「自分は組織に属さなければ何もできないんだ」
「今まで大きな顔をして仕事ができたのは、すべて会社という組織があったからなんだ」と
気づき始めるのです。

でも、これに気づくことは、明らかに、“大きな一歩”でもあります。なぜならば、
人間は、「自分はただの人間である」と気づいたときに、
本当の意味で、“地に足の着いた生き方・働き方”ができるからです。

今、若いビジネスパーソンに向けて述べたいことは、
第一に、「“組織の力”と“一個人の力”を混同しないこと」。
第二に、「仕事の大小に限らず、どんな仕事でも心を込めて取り組むこと」。
この2つをしっかりと留意すれば、毎日、少しずつでも前に進めるはずです。

日本経済は、「エネルギーに満ち溢れた若いパワー」を必要としています。
これを読むあなたも、日々のビジネスシーンにおいて、自分自身の“立ち位置”をしっかりと把握し、
意気揚々と前に進まれることを願っています。



<生井 利幸講師のコラム バックナンバー>

VOL.44「人の印象は挨拶ひとつで大きく変わる」

VOL.43「メール送信は、時として、‘爆弾投下’と化してしまう」

VOL.42「謝罪の極意」
VOL.41「トイレでの会話が人の心を掴む」
VOL.40「打ち合わせにおける笑顔の意味」
VOL.39「労働の価値の重さ」

VOL.38「アメリカ人の方便、日本人の方便」

VOL.37 「‘忙しい’を言う? 言わない?」
VOL.36 「愛情あるコミュニケーションが、仕事のクオリティーを大きく変える」
VOL.35 「コミュニケーションと川の水の流れ」
VOL.34 「講演先での素晴らしい出会い」
VOL.33 「スピーチの達人は皆、"役者顔負けのパフォーマンス"で話を進める」
VOL.32 「緊張しない話し方の極意
VOL.31 「ニューヨークのビジネス社会は"人類愛"に満ちている
VOL.30 「東京都葛飾区の公開講座で感じる社会人受講生のパワー
VOL.29 「コミュニケーション力”・“哲学”・“心”の融合が、会社を大きく成長させる」
VOL.28 「"キャッチボール型の会話"をしていますか?」

VOL.27 「「個」を重要視する経営者の精神、個々の社員の精神」

VOL.26 「「哲学」「理念」を養う社員教育の必要性」

VOL.25 「地域社会発展の実現は「真心」にあり」

VOL.24 「コミュニケーションは一体何のためにあるのか?」

VOL.23 「人の顔の表情は、自分の顔の表情の顔である」

VOL.22 「ニューヨークでは、肌の色よりも<チャレンジ精神>が台頭する」
VOL.21 「話上手 グレート・コミュニケーターの本音」
VOL.20 「<裸の王様>になってはいけない」
VOL.19 「<哲学><コミュニケーション><ビジネス>における相関関係」
VOL.18 「<言葉の管理>に優れている人が信用を築く」

VOL.17 「堂々と客に啖呵を切る魚屋の<交渉術>」

VOL.16 「契約社会アメリカの実態は“交渉社会”である」
VOL.15 「経営者の心得・・・ビジネスの達人は“他人を泳がせる器量”を備えている」
VOL.14 「できる管理職は業務命令を下すのがうまい」

VOL.13 「トップライナーが駆使するビジネス・コミュニケーション術」

VOL.12 「一連のIT革命が癒した<負の遺産>」

VOL.11 「プロのエンターテイナーから学ぶ 自己表現を高める方法」

VOL.10 「セールスの達人は<1秒のリズム>で勝負する」
VOL.9 「経営者はCSRの執行者でなければならない」

VOL.8 「<お茶目な人>がビジネスを成功させる」

VOL.7 「給料は、貰うものか、それとも稼ぐものか?」
VOL.6 「日本人は常に<組織の名前>にしがみつく」
VOL.5 「スーツの買い方でわかる意思決定のスマートさ」
VOL.4 「勝ち組人生」とは?
VOL.3 「上司の力量次第で部下の仕事ぶりが決まる」
VOL.2 日本人がアメリカ人から学ぶべき「ビジネスにおける“心の余裕”」
VOL.1 「現実」を踏まえた上で一歩一歩確実に歩む人が、仕事人生を成功させる
 
 

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