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〜できる人が備える〜
「勝利のための発想法」


生井 利幸(なまい としゆき)

生井利幸事務所代表

明治大学大学院 法学研究科 公法学専攻 博士前期課程修了。
米ペンシルベニア州ラフィエット大学講師、
オランダ王国国立フローニンヘン大学法学部客員研究員等を歴任。
11年の海外生活において主にアメリカの大学で教鞭を執る一方、在ニューヨークの企業を中心に法務・経営・ビジネス戦略に関するコンサルティングを行う。
2003年、日本に帰国。現在、作家として多方面において執筆・講演等を行う。


Vol.49 アメリカ人の“立ち話好き”をどう捉えるか

日本人がアメリカを訪れてまず第一に感じることといえば、「アメリカ人は本当に良く話をする」ということではないでしょうか。

日本人旅行者が、成田からロサンゼルスやニューヨーク行きの飛行機の中で、近くの席で2、3人ほどのアメリカ人が喋っている姿を見て、「よくもまー、あんなに話すことがあるものだ!」と感心することはよくあることでしょう。

アメリカ本土では、アメリカ人の話し好きは、ありとあらゆる生活シーンにおいて目にすることができます。人々が住んでいるコミュニティーはもちろんのこと、職場においても、人々は本当に良く喋ります。

ここで一つ考えてみましょう。アメリカ人はどうして話が好きなのか、ということを。

アメリカ人は、歴史的に、人とのコミュニケーションを大切にする国民性を持っています。アメリカ大陸は、西洋文明社会におけるその潮流においては、名実共に、“新大陸”(new continent)という位置づけであり、その新大陸に居を構えるアメリカ社会は、様々な人種・民族、文化、習慣、宗教などが交錯する“複雑極まりない多民族社会”です。

一般的に、アメリカの人々は、「自分たちの社会は“複雑極まりない多民族社会”である」という事実をよく認識しています。そのため、多くのアメリカ人は、「相互に関わり合う他の人々と十分に話をして、相互に理解し合おう」という“コミュニケーション・スピリット”を大切にしています。

さらに、アメリカには、ワンランク上のコミュニケーターが存在します。

それはどんな人かといいますと、「“立ち話”をコミュニケーションのツールとする」と考える人です。私自身、アメリカでの立ち話の経験といえば、今すぐには思い出せないほどの数々の経験をしました。ニューヨークのビジネス街はもとより、大学のキャンパス、ショッピングモール、映画館、ガソリンスタンド、その他の商業施設など、私は、ありとあらゆる場所で様々な立ち話をしてきました。

立ち話といっても、アメリカ人の立ち話は非常に長い時間をかけて話し込みます。日本では、“挨拶”という意味合いで、せいぜい2、3分も立ち話をすれば十分という感覚があります。しかし、アメリカでは、人々は、10分でも20分でも、“平気な顔”をして立ち話をします(場合によっては、30分以上もの間、永遠と話し込む人もいます)。

実は、アメリカ人が立ち話をする理由はたった一つです。それは、アメリカ人にとって、長い時間にわたって立ち話をするという行為は、1)「相手に対する心からの愛情」、そして、2)「相手とのコミュニケーションを望んでいる」ということを相手に伝えるためのツールであるのです。

良く考えるとわかることですが、アメリカ人でも、20分もの間、立ちっぱなしで喋っていたら、結構、体も疲れます。しかし、アメリカ人は、体が疲れようとも、あるいは、少しばかり足が痛かろうとも、お互いに話したいことが終わるまで話し続けます。アメリカには、そうすることで、「自分の“誠意”が相手に伝わる」と考える人が多いように感じます。

国際社会においては、通常、アメリカの大統領は世界一のグレートコミュニケーターである、という見方がなされることは周知の事実です。しかし今、私たちは、アメリカでは、普通の社会においても、「体を張ってより良いコミュニケーションを図ろうとする人々が大勢いる」という事実を忘れてはならないようです。アメリカでは、まさに、街の至る所で、グレートコミュニケーターが意気揚々と闊歩しているのです。

日本にも、時間の長さは別として、立ち話が好きな人がいます。あなた自身、何かの機会で、ある人と立ち話をしているとき、「この人、話が長いな!」と感じたら、その相手が一体どのような心境で長話をしているのか考えてみましょう。「相手の心理を読む力」を磨けば、必ずや、ビジネスコミュニケーションにおいても役に立つに違いありません。



<生井 利幸講師のコラム バックナンバー>

VOL.48 「社員の相手に完璧を求めない人間関係」
VOL.47 「社員の『察する力』『考える力』を養う企業が勝利する」
VOL.46 「社員の『やる気』を引き出す話し方」
VOL.45 「日本経済が必要とする若いビジネスパーソンよ、“しっかり前に進め”」
VOL.44 「人の印象は挨拶ひとつで大きく変わる」

VOL.43 「メール送信は、時として、‘爆弾投下’と化してしまう」

VOL.42 「謝罪の極意」
VOL.41 「トイレでの会話が人の心を掴む」
VOL.40 「打ち合わせにおける笑顔の意味」
VOL.39 「労働の価値の重さ」

VOL.38 「アメリカ人の方便、日本人の方便」

VOL.37 「‘忙しい’を言う? 言わない?」
VOL.36 「愛情あるコミュニケーションが、仕事のクオリティーを大きく変える」
VOL.35 「コミュニケーションと川の水の流れ」
VOL.34 「講演先での素晴らしい出会い」
VOL.33 「スピーチの達人は皆、"役者顔負けのパフォーマンス"で話を進める」
VOL.32 「緊張しない話し方の極意
VOL.31 「ニューヨークのビジネス社会は"人類愛"に満ちている
VOL.30 「東京都葛飾区の公開講座で感じる社会人受講生のパワー
VOL.29 「コミュニケーション力”・“哲学”・“心”の融合が、会社を大きく成長させる」
VOL.28 「"キャッチボール型の会話"をしていますか?」

VOL.27 「「個」を重要視する経営者の精神、個々の社員の精神」

VOL.26 「「哲学」「理念」を養う社員教育の必要性」

VOL.25 「地域社会発展の実現は「真心」にあり」

VOL.24 「コミュニケーションは一体何のためにあるのか?」

VOL.23 「人の顔の表情は、自分の顔の表情の顔である」

VOL.22 「ニューヨークでは、肌の色よりも<チャレンジ精神>が台頭する」
VOL.21 「話上手 グレート・コミュニケーターの本音」
VOL.20 「<裸の王様>になってはいけない」
VOL.19 「<哲学><コミュニケーション><ビジネス>における相関関係」
VOL.18 「<言葉の管理>に優れている人が信用を築く」

VOL.17 「堂々と客に啖呵を切る魚屋の<交渉術>」

VOL.16 「契約社会アメリカの実態は“交渉社会”である」
VOL.15 「経営者の心得・・・ビジネスの達人は“他人を泳がせる器量”を備えている」
VOL.14 「できる管理職は業務命令を下すのがうまい」

VOL.13 「トップライナーが駆使するビジネス・コミュニケーション術」

VOL.12 「一連のIT革命が癒した<負の遺産>」

VOL.11 「プロのエンターテイナーから学ぶ 自己表現を高める方法」

VOL.10 「セールスの達人は<1秒のリズム>で勝負する」
VOL.9 「経営者はCSRの執行者でなければならない」

VOL.8 「<お茶目な人>がビジネスを成功させる」

VOL.7 「給料は、貰うものか、それとも稼ぐものか?」
VOL.6 「日本人は常に<組織の名前>にしがみつく」
VOL.5 「スーツの買い方でわかる意思決定のスマートさ」
VOL.4 「勝ち組人生」とは?
VOL.3 「上司の力量次第で部下の仕事ぶりが決まる」
VOL.2 日本人がアメリカ人から学ぶべき「ビジネスにおける“心の余裕”」
VOL.1 「現実」を踏まえた上で一歩一歩確実に歩む人が、仕事人生を成功させる
 
 

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