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「武田VISION」

武田 美保(たけだ みほ)

アテネ五輪 シンクロナイズドスイミング 銀メダリスト

アテネ五輪で、立花美哉さんと、シンクロナイズドスイミング競技で銀メダルを獲得。
2001年の世界選手権では金メダルを獲得するなど、日本人メダリストの中では飛びぬけた数の5つのメダルを持ち、見事な演技力で常に世界を魅了してきた。

チーム競技ではチームリーダーに抜擢され、そのリーダシップ力、確かな技術力と豊かな表現力で、雰囲気を盛り上げるムードメーカーとしても活躍する。


Vol. 44 「やったか やっていないかが その差

最近、とある雑誌の取材を受ける機会がありました。その聞き手の方はベテランと言うにふさわしい雰囲気を持っていらっしゃる方で、質問の内容もやはりベテランの功なのか、自分でも知らなかった内面をえぐられるようなそんな鋭い投げかけをしてこられたのです。その質問に対して私の口から咄嗟に飛び出た言葉が、

“やったかやっていないかがその差だと思う・・・”

でした。

どんな内容の質問だったかと言いますと、確か「少し意地悪な質問をさせて頂きます。」と前置きをされつつ「今までお聞きしたお話を総合すると、武田さんは、子供のころから養われた独自の理論と、強い信念に基づいて、いかなる壁も乗り越えてこられてきたことがわかりましたが、人間はもっと弱い人の方が多くて、いささかスーパーウーマンというか、完璧過ぎる印象を持ちました。うまくいく人生とうまくいかない人生、両極端なことがあるとすれば、武田さんはうまくいっている人生ですよね?ここに生まれる差ってなんですかね?」と、いった感じでした。

録音していた訳ではありませんが、結構鮮明に質問内容が記憶に残っています。その時、私は本能的に「うまくいっている人生・・・?」の部分が引っ掛かりました。何の行動も取らないでうまくいくはずはありませんし、私も壁にぶつかりながらも諦めず努力し続けたのです。それを「うまくいっている」と片付けるには、安易に感じました。正直、「本当に意地の悪い質問だな。」とカチンと来ていたと思います。しかしそれと同時に上に記した言葉が出たのです。

私は、皆さんが思うほど実は自分でも強いなんて思ったことがありません。「できればさぼりたい」「極力省エネでやろう」という考えがつい浮かんでしまうこともありました。ただ、そこで私はじっとはしていなかったのだと思います。若いながらにも人生のうまくいかない時期を過ごしながら、そのとき「自分は最終的にどんな自分でいたいんやっ?」と常に自問自答をしていました。そして、奥底から出てくるイメージが、私の場合はオリンピックに出場してメダルをとって、史上最高の達成感を感じている姿。そうすると「今のままでいたらこの思いは成就されないだろう。だったらどうにかしてここから動こう。」と、そんな考えにいつも行き着いていたのです。大事な時に、「まあいいや」とか「何とかなる」、で終わらせることは決してしませんでした。

前回のコラムでも書きましたが、壁を乗り越える方法を探すのには、とにかく考えるのをやめないことと、行動を取るということが必要です。そして私の場合、「何に変えてもやり遂げたい」と思えるぐらいの現実的かつ具体的な目標を持っていたという重要なことがありました。今までのコラムの中で、幾度となく目標を持つことの大切さを書いてきましたが、目標がリアルだとそれが行動への原動力になります。もしかしたら、これだけ明確な目標をもてた私は、とても幸せだったのかもしれません。しかしまず目標が持てるかどうかで、物事に対する姿勢や関わり方が大きく変わってくるのも事実です。目標やそれに対する思いが行動へと繋がるし、その大きさや強さによって、放棄したり、辞めてしまったり、ということが避けられるとも思います。

実は、私も引退してから今第二の人生で又目標を探しています。「探す」という行動をしない限り、見つけられないのではないか、と思うからです。「やったか」「やっていないか」これは、どんな状況にあっても当てはまることではないかと思います。

これまでの成功者といわれる偉大な諸先輩方をとって見ても、例えば松下幸之助さんや本田壮一郎さんなど、経営の神様と言わしめる方々。その哲学や実践されたことは、本や出版物になって多くのビジネスマンのバイブル的存在になっているかと思いますが、その本にも書かれている通り、何の行動や努力もしないでその立場に上り詰める人なんていないことがわかります。傍から見ればきっと超人的な精神力や才能に見えるかもしれませんが、同じ人間なのだから、そんなことは線を引いてみるものでもないと思います。

「やったか やっていないか」です。

今回は取材をきっかけに、私も面白い聞き手の方にお会いできてよかったです。




<武田 美保講師のコラム バックナンバー>

【武田VISION】

vol.43 壁にぶつかった時の乗り越え方

vol.42 自分が今どこにいるのかを振り返る
vol.41 北京オリンピックを振り返って
vol.40 今だからこその人生を噛み締める
vol.39 「怒られる人」は這い上がれる
vol.38 肉体的、精神的ピークのコントロール
vol.37 後のお楽しみ
vol.36 一冊の本が気づかせてくれた自分の思い
vol.35 新鮮に思えた分業制とリーダーシップ
vol.34 「イメージすること」の大切さ
vol.33 「自分発信」でムーブメントを起こすこと
vol.32 他種目のオリンピック選手から学んだこと
vol.31 大人として必要なこと
vol.30 目標を持つことの大切さを再認識した夏
vol.29 表現者として私が目指すもの
vol.28 「学校向け講演キャラバン」のスタート
vol.27 「SHANGRILAV」〜活躍する人の共通項とは何か?
vol.26 「SHANGRILAV」〜心を開く

vol.25 「学校向け講演キャラバン」への想い

vol.24 世界水泳2007で考えた「個性」

vol.23 子供は社会を映す鏡

vol.22 想いを言葉にする

vol.21 2007年の抱負

vol.20 家族の大切さ

vol.19 自分らしさの追求

vol.18 セルフプロデュースV オンとオフの使い分け

vol.17 セルフプロデュースU モチベーションの維持
vol.16 セルフプロデュースT 目標達成までの自分の高め方
vol.15 マッスルミュージカル−<千秋楽>の感動
vol.14 マッスルミュージカル−舞台は人の関わりの結晶

vol.13 マッスルミュージカル−公演初日を迎えて

vol.12 マッスルミュージカルリハーサルスタート
vol.11 私が求める女性としてのライフスタイル(4) 家庭
vol.10 私が求める女性としてのライフスタイル(3) ウェイトコントロール
vol.9 私が求める女性としてのライフスタイル(2) ファッション
vol.8 私が求める女性としてのライフスタイル(1) 仕事
vol.7 コミュニケーション (3)チームワーク」
vol.6 コミュニケーション (2)対人折衝」
vol.5 コミュニケーション (1)上下関係」
vol.4 「シンクロと私〜引退から1年を迎えて〜」
vol.3 「<形><デザイン>について」
vol.2 「人の持つ<オーラ>について」
vol.1 「伝えるということ」

【夢のつづき】
vol.6 「ありがとう&夢のつづき」
vol.5 「新しい風」
vol.4 「世界1の意味」
vol.3 「デュエットパートナーとしての私」
vol.2 「世界への挑戦のスタート」
vol.1 「夢のはじまり」

 

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