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「武田VISION」

武田 美保(たけだ みほ)

アテネ五輪 シンクロナイズドスイミング 銀メダリスト

アテネ五輪で、立花美哉さんと、シンクロナイズドスイミング競技で銀メダルを獲得。
2001年の世界選手権では金メダルを獲得するなど、日本人メダリストの中では飛びぬけた数の5つのメダルを持ち、見事な演技力で常に世界を魅了してきた。

チーム競技ではチームリーダーに抜擢され、そのリーダシップ力、確かな技術力と豊かな表現力で、雰囲気を盛り上げるムードメーカーとしても活躍する。


Vol.10 「私が求める女性としてのライフスタイル(3)ウェイトコントロール」
 
 私がシンクロを引退してから始めたことに「ピラティス」があります。ヨガと並んでこのピラティスも今世間では一大ブームになっていますが、私が始めた理由はごく自然な流れから。選手時代にピラティスの有効性について紹介を受けたのがこのエクササイズを知るきっかけでした。

 実は私、シンクロという競技選手の割に到底それをしているとは思えない程身体に柔軟性がなく、ジュニアの頃から常にそれについて指摘を受けてきました。丈夫な身体に生んでくれた両親には感謝しなくてはいけないのですが、関節や筋肉までもがしっかり&がっちりとし過ぎて(笑)。

 その頑丈さがよくわかるお話があります。柔軟体操ではこんなメニューをこなしていました。
開脚姿勢をとって、その前足のかかとと後ろ足の膝をそれぞれ椅子や高い台の上に乗せ、コーチに上から体重をかけられ10分間静止です。想像できます?宙に浮いた股の部分がどんどんしなって床に近づいていくのです、普通の人は。

これが私の場合、震えがきて気絶しそうなぐらい痛いのに、何分やってもしならずピシッとほぼ180度の角度を保ったまま(悲)。頑張って190度越えぐらい。選手としては陸上で200度以上開脚が簡単に開けなくては重力の無い水の中で美しい開脚姿勢をとることができないのです。

 ピラティスでは、シンクロでも重要な身体の中心(コア)の筋肉を鍛えると同時に、独特の呼吸法によって筋肉を長くしなやかにしていくことができる事実を知りました。また怪我の防止にもなると。結局選手の間は、チームでの活動ということもあり個人的に時間を取ることが難しかったので、引退してからのスタートとなりましたが、「始めるのが遅かった」と思いません。むしろ環境が変わってからの身体の維持にとても効果的で、以前にも増して身体のことを考えるようになりました。

めぐり合わせもよく、私が取り組むことになったのがピラティスインストラクターの資格制度。短期間でしたがラスベガスに留学し、本格的な指導を受けることができました。人に指導をするということは、当然責任が生まれます。正しい知識と身体の使い方を身につけなければ嘘を伝えることになりますから、自分にとってはいいプレッシャーになりました。

もちろん現在もピラティスとうまくお付き合いさせてもらっています。イベントでグループレッスンの時間を持たせて頂いたり、他にも個人的にレッスンを続け、泳ぎに行く時間が取れなくてもコアを意識することを日常的にすることによって、シンクロでの感覚がすぐに蘇ってくれるのが助かります。今の方が代謝がいいことには驚きです。背筋や首がピンと伸びて、肌艶やも良く、表情がはつらつとして、颯爽と歩く女性は常に頭の中にイメージ像としてあります。ピラティスの延長線上にそんな女性像が重ねられる気がします。


環境が変わって、意識的に変えようとしたことが食生活の面。シンクロ選手は食事量の多さで有名です。一日、長い時で10時間以上プールの中に入ってトレーニングするので、朝練習前に量った体重が終了時だと2s近く落ちてしまうことも。

世の女性にとっては「なんてうらやましい話!」だと思われるかもしれませんが、この体重の落ち方は選手にとって死活問題。覚えた感覚が狂うのです。また浮力を増すためにも、外国の選手に負けない量感をつけるためにも、身体を大きくしなければならず、身体も疲労がピークに達してくると消化器官の働きもが弱まってくるのでさらに食べることがつらくなる。食べられないと痩せる。痩せるといいパフォーマンスに繋がらない。と言った感じです。一般的な成人女性の1日摂取カロリーは1800キロカロリーを摂ればよいとされていますが、私達は1日目標4500キロカロリー以上。好きなものも嫌いになります。

現在はうってかわって、お陰様で快適な食生活をさせて頂いております(笑)。

運動量が減ったのに同じ量を食べていたら、
「武田さんは何の競技の選手をしていた人だっけ?」ということになってしまいますので。

選手時代に食事の色のバランスを指導頂く機会もあったので、専門家とまではいかないまでも、栄養やカロリーについてその基礎知識を生かして食事をバランスよく摂るようにしています。食事を摂る時間が不規則な場合でも、「この時間帯はこの調理法でこの食材が身体に優しそう」という具合に選びます。

ケーキなどの甘いものも普通に食べています。ただしこれを食べるタイミングは、食後すぐに。間食としてではなく食後のデザートとして。それとブラックコーヒーで。選手の時は夜寝る直前に食べるという身体に一番よくない時間に摂っていました。選手の時にしていたことと真逆のことをすればいいので簡単です。

ウェイトコントロールも、健康状態も、自分の身体を内側から「感じよう」とすると感じられてくるものです。私は自分の心と身体が一番心地よいと感じられる「自然な自分」というものを、自分の中に置くようにしています。時々その自分が「不摂生だよー」と忠告してくれたり、「今日は欲求通り食べてもいいよ」とご褒美をくれたり、「身体動かした方がいいんじゃない?」と自然と動きたくなるように導いてくれます。

だからいつも心が健やかで自然な自分に戻れる。その声に耳を傾けながら生活をすると、体重の増減もほとんどないし、毎日が我慢じゃなく「今日はこれ!」と選ぶ楽しみを持ちながら過ごせます。

昨今ロハスやスローライフといった、ライフスタイルから健康を見つめる動きが定着しつつあります。
とても素敵なことではないでしょうか。ブームに終わらせず、日常生活の過ごし方で私は心も体も内側から一生をかけて綺麗になっていけることが理想です。

ピラティスや食生活はその綺麗のための手助けをしてくれる数ある中のほんの一部。
せっかく出会った助っ人とはこれからも友好関係を結びながら理想に向かって生きていきたいです。

前回の武田ビジョンでも触れたように、いい服も着るだけではなくそれをより格好良く着こなすためには、身体をしっかり動かして、あるべきところに筋肉をつけて、何に対しても楽しんで、内面を充実させることが結局はその人全体の魅力になって、服も喜んで馴染んでくれるものだと思います。外見の美しさは確かに綺麗に磨いておくにこしたことはないでしょうが、その努力と同じぐらい、いやそれ以上に内面を充実させることでその努力が初めて花開くと提言させていただきましょう!

言ったからには、私も花を開かせられるように頑張ります。


 



<武田 美保講師のコラム バックナンバー>
【武田VISION】
vol.9 私が求める女性としてのライフスタイル(2) ファッション
vol.8 私が求める女性としてのライフスタイル(1) 仕事
vol.7 コミュニケーション (3)チームワーク」
vol.6 コミュニケーション (2)対人折衝」
vol.5 コミュニケーション (1)上下関係」
vol.4 「シンクロと私〜引退から1年を迎えて〜」
vol.3 「<形><デザイン>について」
vol.2 「人の持つ<オーラ>について」
vol.1 「伝えるということ」

【夢のつづき】
vol.6 「ありがとう&夢のつづき」
vol.5 「新しい風」
vol.4 「世界1の意味」
vol.3 「デュエットパートナーとしての私」
vol.2 「世界への挑戦のスタート」
vol.1 「夢のはじまり」

 

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