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〜変化を捉えて活かす価値組ビジネス戦略〜
「元気な会社・元気な地域の創り方」

西川 りゅうじん(にしかわ りゅうじん)

商業開発研究所レゾン所長
マーケティングコンサルタント

1960年神戸市生まれ。一橋大学卒。

商品、業態、施設、イベント、街おこしの企画プロデュースに携わる。7年前より鹿児島県本格焼酎マーケティング研究会座長として昨今の焼酎ブームを演出するなど官公庁や森ビルはじめ様々な企業への実践的コンサルティングと企画力には定評がある。

東京工業大学、早稲田大学等で非常勤講師、拓殖大学客員教授を務める。アッシー、ジモティ、コヤジなど流行語の造語でも知られる。



時代がオセロのように変わるのを感じた

 誰しも飲んだこともないジャンルの酒類をいきなり酒屋で買うことはない。
飲食店で飲みつけてから自宅でも飲むようになる。そこで、厳しい外食不況の中でも伸びている、消費者の動向を知り尽くした有力フードベンチャーや飲食オペレーターの社長を講師に招いて話を聞いた。

「紅虎餃子房」などを経営する「際コーポレーション」の中島武社長、「ちゃんとフード」の岡田賢一郎社長、「えん」などを展開するBYOの楊文慶社長、「春秋」の杉本貴志代表をはじめ、友人知人の食の達人に鹿児島の焼酎を体験してもらった。

 しかし、口にするなり多くの人から、「麦焼酎に替えた方がいい」、「クサい、ダサい、マズい」などと直接的にあるいは遠回しに言われた。蔵元たちは、「そこまで言うことはないだろう。オレたちの文化なんだぞ!」と怒った。そして、皆さん発奮した。私も気合が入った。さらに客観的に市場を調査した。

 ハードリカー、つまりアルコール度数が高い酒類の市場動向はどうなっているのか?
全体ではどんどん消費量は減っていた。

しかし、一部でも何か伸びているものはないかと調べると、スコッチのモルトウイスキー、要はスコットランドの地酒だが、それが全国的に、特に大都市の中心部で伸びていることが分かった。ジンとかウォッカなども一部の銘柄については伸びていた。それも飲み方は、オン・ザ・ロックか、もしくはストレートで飲まれていた。

 そこに一つの気付きがあった。鹿児島ではたいてい焼酎は梅干しなどは入れずに六・四のお湯割りで飲む。「鹿児島と東京都心ではまったく市場が異なる。ロックとか水割りで飲んでキレのいい焼酎にしよう」と考えた蔵元がいた。あるいは、「ハマれば臭いがたまらなくいいのだが初心者にはキツい。

初心者にも飲みやすい焼酎を作ろう」と考えた蔵もあった。ビールも最初に飲んだ時は苦いだけ。ワインも一滴も飲んだことがない人に、ロマネコンティを飲ませても最初から旨いとは思わない。

 そして、健康に良いことを証明するのが何よりも重要だと考えた。赤ワインの消費量が伸びたのはバブル崩壊後だった。不況になれば慣れ親しんだ酒類に戻るはずなのにだ。それはポリフェノールの抗酸化作用が喧伝されたからに他ならない。フランスで脳溢血とか心筋梗塞といった生活習慣病が少ないのは赤ワインの成分のポリフェノールの効果によるらしいとマスコミ、口コミを通じて広まったからだった。

 同じように、「焼酎を飲んでいる人たちは長生きだ。何か効果があるに違いない」と皆、確信していた。すると研究によって、焼酎は赤ワインよりも血栓(血管内で固まった血液)をさらに1・45倍も溶かす効果があることがわかったのだ。ポリフェノールもワインに負けず含まれていた。また、蒸留酒なので、あまり悪酔いせず、翌日にも残りにくい。健康志向は焼酎の追い風になると確信した。

 しかし、当時はまだ「焼酎が来る!」と言っても誰も信じてくれない状態で、様々なマスメディアで明言することは私にとってもリスクがあった。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌の、私や商業開発研究所レゾンが関係しているコーナーをはじめ様々なメディアの方々にもご協力頂き、「焼酎は体にいい。ポスト赤ワインは焼酎だ!」とPRに努めた。

 そして、研究会で講師を務めてくれた社長らが経営する、情報発信力の高い飲食店とタイアップしてキャンペーンを展開した。また、芸能人ご用達のあるお店のご主人を通じて、フミヤやキムタクをはじめとする有名人にもファンが広がって行った。志村けん、福山雅治など芸能界にも焼酎通が増えて行った。

そうこうするうちに有名ソムリエやバーテンダーにも浸透して行った。

 各蔵元も商品開発に営業にPRにと本当に努力された。「コセド」をはじめとする酒屋や卸も無名な焼酎を飲食店に対して地道に販促してくれた。「鹿児島ブランド支援センター」をはじめ県庁の様々なバックアップも心強かった。

 その結果、大ブレイク。時代がオセロのように変わるのを感じた。市場を客観的に捉え、変化をチャンスとすることでブレークスルーが可能となったのだ。

鹿児島県との様々なご縁を頂き、御陰様で知事から「薩摩大使」の称号を頂いた。(「マグマ大使」みたいだが) 数多くの戦友と共に現在の焼酎ブームの一翼を担えたことは、長年の焼酎ファン冥利に尽きる。

焼酎人気を一過性のブームで終わらせない

 しかしこの数年は、焼酎バブルの様相を呈しているのが心配だ。地酒やワインが一気にブームになって、一気にしぼんでしまった時と同じように、偽物が出回り、抱き合わせ販売が横行し、粗製乱造による質の低下も起こっている。芋焼酎の原料となるコガネセンガンも足りない状態だ。

 この5年程の間に入社した営業マンは注文を断るか届けるだけが仕事になってしまっている。蔵元の社長の中には舞い上がってしまっている人も出てきているようだ。天文館や博多や銀座で蔵元の社長がホステスに店を持たせてやったなどという話も耳にする。

 今の状態が当たり前だなどと思っていたら危ない。特に大都市圏では反動が来かねない。バブル期よりずっと以前、四半世紀前の在学中に起業して以来、あらゆるバブルをかいくぐって来た"バブルシーラカンス"西川りゅうじんが言うのだから間違いない!焼酎人気を一過性のブームで終わらせてはならない。今こそ原点に戻り、本当に旨い焼酎を作り、頭を下げてお客様に飲んで頂かねばならない。


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<西川 りゅうじん講師のコラム バックナンバー>

Vol.2 『変化はチャンス!〜変化を捉えて活かすビジネス戦略〜
Vol.1 『ピザパン化現象』と『つくばエクスプレス』

 

 

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