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Vol.
21 『安倍政権、早くも正念場』
新しい政権が発足しても100日間は黙って見ているのがアメリカ流だそうだが、日本の場合はそうも言っておられないようだ。
安倍首相の支持率、昨年9月末の発足当初こそ70%前後と高い支持率だったが、3カ月の間にまるで秋の夕日のようにつるべ落とし。年末には50%前後になってしまった。小泉首相によって「選挙の顔」として官房長官に抜擢され、郵政選挙で地滑り的大勝をおさめたのがまるで夢のようである。
こうなったのにはもちろん理由がある。もともと安倍さんの人気が高かったのは、「小泉改革」の継承者と見なされていたからだ。
日本は景気がよくなってきた(戦後最長の景気拡大という実感はなくても上昇していることは間違いない)とはいえ、どこで腰が折れるかわからない。
こういう時こそ、公共工事や輸出だけに頼るのではない新しい経済の構造をつくる必要があるのに、安倍内閣にはその姿勢が見えない。それが端的に表れたのが、道路特定財源の一般財源化だった。結局、つくるべき道路をつくってそのおこぼれを一般財源にするというのだから、小泉首相にさんざんいじめられた道路族の顔を立てたというしかなく、首相のリーダーシップは発揮されずじまい。
さらに今年の税収が当初予算よりも数兆円も増えたというのに、国債発行額は税収の増加分しか減らないことになった。本来、GDPの160%にも達する国家債務を背負っているのだから、とにかく景気のいいときにどんどん国債発行額を減らすべきなのである。税収増加分を越えて減らしてこそ財政改革と言えるのに、それを企業主体の減税に回して「成長なくして財政改革なし」と言われたら、国民はやってられないと思うだろう。
その上、郵政造反組の復党問題。本来、自民党にいた人たちだから、それを戻すという考え方があるのはいい。しかし今年の参議院選挙が危ないからという「党利党略」が全面にたっての復党劇は「潔くない」という印象を与える。しかも中川幹事長任せで首相のリーダーシップが見えず、すったもんだの揚げ句の復党では、自民党に旧体質が戻ったのかと思わせてしまう。
本来、改革を追求するのであれば、やれるチャンスはいろいろあったのに、安倍さんはそれらをことごとく逃がしてしまった。それにもかかわらず教育基本法の改正や防衛庁の「格上げ」はさっさとやった。これらは実は「改革」でも何でもない。極端な言い方をすれば、戦後日本の在り方に不満をいだく旧保守派の「夢」を実現しただけの話である(アメリカが決めた教育基本法を変えることで、いじめがなくなるわけではあるまい)。
小泉改革がどれほど実のあるものであったかは別にして、「改革なくして成長なし」というのは確かだと思う。郵政民営化も「民間でできることは民間に」という前提で考えれば、そこにさまざまなビジネスチャンスがある。実際、われわれ消費者から見ても、もしヤマト運輸が宅急便を始めず、相変わらず横柄な郵便局の小包便しかなかったら、これほど便利になったかどうかはなはだ疑問だ。安倍さんは「再チャレンジ」というキャッチフレーズを言うが、再チャレンジよりも前にまずチャレンジさせるような社会づくりをするのが順番というものだろう。
安倍内閣が今の日本を変える意欲をもった内閣ではないと国民が見切りをつけたとき、参議院選挙で与党が大敗する可能性もある。そうなったら景気に悪影響が及ぶはずだ。4月の統一地方選でだいたいの潮目がわかるはずだ。それ次第では、われわれ国民も少し身構えたほうがいいかもしれない。
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