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Vol. 35 「心配な日本」
イギリスの経済雑誌エコノミストが、3月23日号で日本を特集している。表紙の副題に曰く。「世界第2位の経済大国を心配しなければならない理由」
世界は金融危機で揺れているが、それほど大きな問題を抱えているわけではない日本のことを「懸念材料」みたいに言われるのは面白くない。そんなことよりサブプライムだのモノラインだの頭のハエを追ったらどうだ。そう思う人もいるかもしれない。
サブプライム・ローンはそもそもアメリカの低所得者向けの住宅ローンであり、モノラインはこうした債権などに保証を与えている会社。こうした金融商品で大きく傷ついているのは、高利につられてリスクを見逃した欧米の金融機関が中心だ。実際、公表された評価損でいうと欧米の金融機関と日本の金融機関ではひとけた違うのである。
しかし日本の金融機関もそうほめられたものではない。そろそろサブプライム・ローンを原資産とする証券化商品に食指を動かそうかとしているときに、アメリカの住宅バブルがはじけてしまった。バスが高速道路で大事故を起こしたが、そのバスに乗るはずだった日本は乗り遅れたので助かった、こういう比喩がわかりやすいだろうか。
問題は、日本の金融機関がバスに乗り遅れたのは、日本経済が時流に乗り遅れていることの象徴なのではないか、というところにある。当然のことながら、時流に乗り遅れている日本には外国の資本も目を向けない。
国土交通省が外資の空港会社に対する持ち株規制を盛り込もうとしたら、渡辺金融担当大臣をはじめ一部大臣から猛反発を食った。外国の資本による直接投資をもっと誘致しようとしているのに、それと逆行する話だとかみついたのである。新聞なども持ち株規制は国土交通省の天下り先確保のための上限規制であるなどと書いて、反対している。
こうした規制ができると、日本は閉鎖的な市場であるとして、外資は日本への投資意欲を失ってしまうというのが「開放派」の議論である。それはそうかもしれない。空港という国にとって重要なインフラでも、外資が買収するのを許している国もある。もちろん規制している国もある(もともとは規制するのが普通だったが、グローバリゼーションが進んで開放する国も現れてきた)。
しかしもしそれを言うのであれば、あのスティール・パートナーズがブルドックソースを買収しようとしたとき、マスコミはもちろん裁判所まで寄ってたかって、売りたくないという経営陣に同調したのか、不思議でならない。
裁判所が判決文で述べたように、買収側が「乱用的買収者」であるから買収してはならないということになると、乱用的かどうかを誰かが判断しなければならず、そこに不透明感がつきまとう。だから「日本市場はやっぱり閉鎖的」という見方が生まれたのは、このブルドックソースのときだったと思う。
もちろん会社の買収をめぐる争いがあるのは自然だから、攻防があるのはまったく問題はない。しかしブルドックソースのときは、なぜかスティール・パートナーズが一方的に悪者にされてしまった。
それなのに今度は国土交通省が外資規制をしようとすると、それに噛みつくというのでは、日本政府の考え方に一貫性がないと疑われても仕方があるまい。冬柴国土交通大臣が言っていた。「自分たちが営々として築き上げたものが外国の手に渡っていいのか」。もしそう思うなら、上場しなければいいし、それでも上場したいのなら日本の株式市場から外人を追い出すことだ。ただし株価が止めどもなく暴落することだけは覚悟しておかなくてはならない。
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