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「日本の未来をあきらめない」

小林興起 (こばやしこうき)

元財務副大臣/ 前衆議院議員

1944年1月1日生まれ。東京都出身。

東京大学法学部卒業後、通産省(現経済産業省)に入省。
ペンシルバニア大学大学院に政府交換留学。16年間勤めた後、衆議院選に立候補。8年間の浪人生活を経て平成2年初当選。労働政務次官・財務副大臣・安全保障委員長を歴任。現在、捲土重来を期して活動中。

小泉内閣が進める市場原理主義一辺倒の郵政民営化法案反対の急先鋒として知られ、05年衆議院本会議で同法案に反対票を投じた後、自民党を追われ、同年9月の衆議院総選挙では自民党から刺客を送り込まれ落選。

メディアに報道されない真相を鋭い切り口で語る。

Vol.13 『松坂投手の大リーグ移籍に考える"日本人の心"』

西武の松坂投手がポスティングシステムにより、60億円もの巨額な入札をした米国の大リーグレッドソックスに移籍することになりました。このことについて考えてみました。

かつて野茂投手が先鞭となって、その後、続々と日本球界の大物スター選手が彼に続きました。夫々の選手は彼の地で活躍をしており、このことは大変喜ばしく、日本のプロ野球界のレベルも大リーグに通用するようになった証明であります。

しかし、ちょっと待って下さい。何故日本のスター選手がこぞって米国に?
勿論ベースボール発祥の地であり伝統のある大リーグ、しかも年棒も圧倒的に高額なことは解ります。そしてまた、現状の日本球界の魅力のなさがその要因でもありましょう。
2006年夏に、私は「2リーグ制を守り、プロ野球の発展を図る会」という議員連盟を結成し、その議連の努力もありまして、当時、崩壊の危機にあった日本球界はダッチロールからの軟着陸ができました。しかしながら、その後プロ野球界が発展しているとは、残念ながら思えません。ですがそれだけでしょうか。

私はここで、別の角度から考えてみました。
もしも私が若かりし頃松坂投手であったならば、日本に留まり、私達よりずっと体躯の良い大リーガーを、バッタバッタと剛速球でねじ伏せることに気概と執念を燃やしたに違いありません。しかし、時代は移ろい若者の価値観も大きく変化したのでしょう。
先の敗戦の後、我が国はその復興の殆どを米国に委ねました。その結果、また日本人固有の勤勉さのためもあって、我が国の経済は目覚しい復興と発展があり今日に至っております。

しかしです。現在の日本の疲弊した部分に光をあてると、見えてくることがあります。それはひとことで云うと「悪しき米国化」と云えましょう。ここで注意深くお話しなくてはならないのは、このことは米国の文明や文化を批判するものでは全くありません。私もかつて米国ペンシルバニア大学への留学の折に、彼の国の懐の深さに感銘したものでした。

米国には素晴らしい民主主義と文化があります。但しそれは米国だからなのです。それと全く同様に、日本には日本古来の美しい文化や、互助の精神と民主的な知恵がありました。それは、儒教的な謙譲の文化、先人や親や家族、そして隣人を尊ぶ風習。花や自然環境にも命を見出し愛でる情操や、侘び寂びの文化。それらの日本古来の文化や風習などの心であります。急速に米国ナイズされて豊かになったことと引き換えに、失ったものが無いかとの検証を、今こそすべきなのです。

米国は強く広大で陽気です。それに野球界のみならず日本人が潜在的憧れを持つことを否定はいたしません。しかし、我が国本来の美しい心の文化を見つめなおしてみる必要が今こそあります。プロ野球球団が、米国大リーグの二軍や下請けになることもさることながら、日本国が米国の一洲化されることや、日本経済が、金融が、強大な米国の子会社に組み込まれ、さらに日本人の美しい心までも見失って、そしてその時になってやっと気付いても遅いのです。まず自ら振り返り、日本の次代を担う子供らに、日本古来固有の『心』を伝えていくことが、火急の私たちの責務だと考えます。

戦後、我が国の政治経済は、ずっと米国に向いておりました。基本的にそれは正しかったのでしょう。しかし、ベースボールと野球が違うように、また時には今年のWBCのように、"野球"が"ベースボール"に勝利することがあるように、日本国には固有の文化や伝統に立脚した舵取りが必要であり、まさにそれらの付託に応える者が政治家であると考えます。




<小林 興起講師のコラム バックナンバー>
Vol. 12 「本当の改革を願う」
Vol. 11 「清々しい精神」
Vol. 10 「心の教育」
Vol. 9 「基礎体力と精神力」
Vol. 8 「"日米親善野球"にみる対アメリカへの外交姿勢」
Vol. 7 「新刊を出版・マスコミが語ろうとしない真実」
Vol. 6 「お金で買えないもの」
Vol. 5 「皇室典範問題について」
Vol. 4 「アメリカ型社会で日本は本当に幸せか?」
Vol. 3 「<パンとサーカス>の政治」
Vol. 2 「勇気ある人々」

Vol. 1 「私はあきらめない」



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