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「企業を変える人材マネジメント」

小杉 俊哉(こすぎ としや)

(株)コーポレイト・ユニバーシティ・プラットフォーム代表取締役社長

1982年 早稲田大学法学部卒業。
1991年 マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院修士課程修了。
大学卒業後、日本電気株式会社(NEC)入社。
マッキンゼー・アンド・カンパニーインク、ユニデン株式会社人事総務部長、
アップルコンピュータ株式会社人事総務本部長を経て独立。

現在、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科助教授、
株式会社コーポレイト・ユニバーシティ・プラットフォーム代表取締役社長、
その他数社のベンチャー企業社外取締役を務める。


Vol. 5 動機付け その(1)


 前回、支援型リーダーシップの話をしましたが、今回からその支援のなかでも中心的なテーマである、動機付けの話をしたいと思います。

  よく、チームリーダーや部課長の方からこのような相談を受けます。「どうも部下のやる気が感じられません。どうやって動機付けさせたらいいでしょうか?」。さて、この質問は、そもそも質問自体が根本的に間違えています。どこが間違えかお分かりになりますか?それは、『動機付けさせる』という観点で部下を見ているところです。すなわち、人を動機付けさせることができると思っているところです。これでは、動機というものの本質を理解してないと言わざるを得ません。

  動機は自らが感じるものであって、人が強いることが出来るものではありません。ですから、『動機付け』に『させる』という使役動詞を使っていること自体が勘違いなのです。厳しい言い方をすると、そのようにコントロールできると思っていること自体、思い上がりも甚だしい、と言うことになります。 人を『動機付けさせる』ことなど、できません。動機はその人そう感じるかどうかによって決まるものなのです。上司が動機付けたつもりでも、部下がそう感じなくても仕方ないのです。他人ができるのは、その人それぞれの動機に働きかけ、影響を与えることのみです。

  動機についての最初の実験といわれているのが、エルトン.W.メーヨーが1933年行ったウエスタン・エレクトリック社ホーソン工場の実験です。これは、労働条件の変化にともなって社員の生産性がどのように影響を受けるかを調べたものです。それまで、いわゆる工場のブルーカラーは機械と同様に見られており、「作業スケジュール」、「作業方法」、「管理のあり方」次第で生産性は上下するものと考えられていました。 ところが、実際には、そのようなものよりも、「職場仲間からの圧力」、「インフォーマルな集団規範」、「自負心」の方が、生産性に大きな影響を与えていることが分かったのです。

  さて、動機には大きく分けて2種類あります。外発的なものと、内発的なものです。外発的動機には、「恐れ」、「報奨」、「成長の機会」などがあります。一方、内発的動機は「主張力」、「積極性」、「達成欲」、「切迫性」、「リスク志向」、「共感欲」、「社交性」、「好印象欲」、「感謝欲」などがあります。 上記のホーソン工場の実験の結果は、「職場仲間からの圧力」、「インフォーマルな集団規範」は外発的動機、「自負心」は内発的動機と言えると思います。 しかし、重要なのは、それらの動機それぞれに、人によって高かったり低かったり異なるという点です。

  アルフィー・カーンという人は、単純に動機を3つの「C」からなると言っています。「Collaboration(協力)」、「Content(満足)」、「Choice(選択)」です。これに関しても個人差はあると思いますが、人と協力し合って、仕事内容に満足し、そして自分で仕事を選択できる、ということには多くの人が動機を覚えるように思えますね。特に、キャリアに関してもそうなのですが、3つめの「Choice」は重要です。「この仕事しかできない、だからこの会社でやっていくしかない」という意識で働いているのと、「いろいろな仕事の選択肢がある中で、この会社を選んでいる」というのでは天と地ほどの差があります。人生も又しかりです。選択肢のある人生は豊かさにつながっています。  




<小杉俊哉講師のコラム バックナンバー>

Vol.4 支援・自律 その(3) 〜支援型リーダーシップ
Vol.3 支援・自律 その(2) 〜会社の支援
Vol.2 支援・自律 その(1) 〜社員の自律
Vol.1 人材のマネジメントは「管理・服従」から「支援・自律」へ



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