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「子育てカウンセリングレポート」

山崎 雅保(やまざき まさやす)

心理健康ジャーナリスト/子どものふるさと研究所主宰

心理カウンセリング「ハートピット」所長。
心理セラピストとしてカウンセリングを担当する一方、
親子問題、教育問題、更には心の健康に関する執筆活動や
教育関連の団体での講演会を精力的に行う。
日経BPオンラインの『土壇場の夫学』を連載中。

豊富なカウンセリング経験に立脚した”現代社会人または子ども達を
取り巻く環境”についての講演は全国の教育関連担当者達の間でも好評。
子どものための歌ほか、自作曲によるコンサート活動も行っている。


Vol. 2 『親としてもっとも大切な役割は』


親が子どもに差し出し続けるモノやコト。数えきれませんね。無慮無数というべきかもしれません。
親ってのは本当に大変。差し出しても差し出しても「それでももっと」と奪われ続ける。
そんな気分に落ち込み、つい被害者意識にはまってしまうこと、並の親なら一度や二度ではないのが普通でしょう。

さても親なら差し出すモノやコト。それらの中で「衣食住の基本的な環境を整え続ける」こそは親に求められるもっとも重要な役割ですね。衣食住は命を支える土台。他に何を差し出そうが、命が危機に瀕したら元も子もないのですから。

では、「その次に重要なのは?」と問われたら、あなたは何と答えますか。即座に「コレ」と思っている方、多いのじゃないかな。せめて迷っていただければと願うのだけど、迷わずに決めつけちゃってる方、少なくないはずです。

「勉学の機会」または「勉強」。あるいは「躾け」と答える方も多いかな。ボクは、その類いの答えにがっかりしちゃいます。「分かってないなあ。そんなこっちゃダメなのに」と思ってしまいます。

荒れる子ども、不登校する子ども、引きこもる子ども、心を病む子ども。そんな子ども達とその家庭の歴史と数多く接してきたボクは、勉学や躾けよりも「遊ぶ」のほうがはるかに重要だと痛感させられています。

「親子で心身を駆使して共に遊ぶ」
それは親として決して忘れてはならない重要きわまる役割です。
「子どもは放っておいてもそれなり工夫して遊ぶものだ」。もしもそんな風に考えているとしたら、とんでもない誤解です。

人間としての能力を育むに不可欠な「遊び」は文化です。文化は次世代へと継承されないかぎり途絶えます。「遊び文化」は子ども同士の間でも継承・共有されるのが本来ですが、コンピュータゲームが登場して以来、子ども間での遊び文化の継承・共有は崩壊に向かい続けています。

ニート状態のまま30歳を越えてしまった青年と語り合いながら、ボクは我が耳を疑いました。彼は「親に遊んでもらった記憶」が皆無に近いのです。彼の記憶に残る遊びの大半がコンピュータゲーム。青年期も終盤となってなお、ニートである彼はほとんど外出しないままパソコンやゲーム機から離れられぬ日々を過ごしていました。

子どもをコンピュータゲームに触れさせずに育てる。そうしたくてもほぼ不可能なのが現実でしょう。だからこそ、コンピュータゲームなんかと比べられない本物の面白さに満ちた「遊び」を、「学び」の宝庫である「遊び」を、子ども達に存分に体験させなければいけません。

乳幼児期から親の導きで「本物の遊び」をたっぷり体感した子ども、心身・五感を駆使して遊ぶ悦びを体感した子どもであれば、コンピュータゲーム依存症やインターンネット依存症に陥る危険性が低くなるのです。

ボクは切願しています。親であるなら、どうか「子どもと遊ぶ」を面倒がらないでください。
おはじき遊び。折り紙。ごっこ遊び。紙飛行機作り。粘土遊び。鬼ごっこ。電車ごっこ。どうか子ども達と遊んでやってください。

電車ごっこする子どもの姿。紙飛行機飛ばす子どもの姿。鬼ごっこする子どもの姿。心身駆使して遊ぶ子ども達の姿。当たり前であったはずの子ども達の姿がみられなくなってしまった現実。これはきわめて恐ろしい現実なのだと気づいてください。

本物の遊びが不足したまま育った子どもは「人間」になれません。大袈裟だと思いますか? いいえ、少しも大袈裟ではありません。

人間として不可欠な懐深いコミュニケーション能力の土台は、乳幼児期からの親子遊びの中で培われます。コミュニケーション能力が未熟すぎる子ども達は確実に急増しています。わが子と遊べない・遊ばない親が急増してしまったからです。

親だって忙しいからしょうがない?
本当にそうでしょうか。忙しいはずなのにテレビばかりみている親。「家族みんなで遊べるから」と言い訳しながらコンピュータゲームにばかり興じている親。忙しいといいながら「疑似遊び」に時を浪費している大人たち姿。ボクはずいぶんたくさん目にしてきました。




<山崎 雅保講師のコラム バックナンバー>

VOL.1 「コミュニケーション力を失った子ども達」



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