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「日常ながら運動のススメ」

長野 茂(ながの しげる)

株式会社フィットネスビジネス研究所代表取締役
早稲田大学第一文学部卒業後、ソニー企業入社・海外事業開発。
その後、日本に米国のフィットネス事業のシステムを導入し、
スポーツ・フィットネスクラブの基礎を確立。
フィットネス事業界の理論的指導者として知られる。
1995年 ダンベル健康体操指導協会、アロマフィットネス協会設立を設立。
2005年 日常ながら運動推進協会設立

現在は日常ながら運動やダンベル体操を通じて、21世紀型の健康づくりの啓蒙 ・
普及活動をテレビ、雑誌、講演会、講習会等で幅広く紹介している。
ダンベル健康体操指導協会、日常ながら運動推進委員会、
アロマフィットネス協会各代表を歴任。



Vol. 9
 『家事ながら運動で熟年離婚危機を乗り越える』

家事ながら運動は健康づくり、メタボ解消、生活習慣病予防効果はもちろんだが、
実は熟年離婚の危険を回避し、ハッピーな自立生活を保持していくためにも有効である。

熟年離婚件数が激増
ここ数年やや減少傾向を示していた同居期間が35年以上の夫婦離婚件数が、
2007年には一転して5507組(前年比16%増)に上り、過去最多となった。
離婚総数は5年連続減の25万4822組で前年比1%減をみると、
いかに「35年以上の夫婦の離婚件数の増加」が際立っているということがわかる
(厚生労働省、人口動態統計)。

巷では2007年以降、団塊世代の大量定年退職を迎え、
それに呼応するように夫婦の年金分割の新制度がスタートするため、
かなり増加するのではと推測されていたが、実態は想像を遥かに超えていたことになる。

シニア世代の熟年離婚意識調査で「離婚を考えた事がある」について聞いたところ、
夫は50代で32%、60代で23%が、妻は50代、60代ともに47%と回答している。
また、「離婚を言い出すのはどちらから?」では、
夫からは50代で23%、60代で22%に対して、妻からは50代で67%、60代で61%と回答、
結婚生活に対する夫と妻のギャップが見事に現れている(シニアコミュニケーション調査)。

「夫婦一緒の時間を充実させたい」と思う夫は20年前の30.6%から39.3%に上昇しているのに対し、
一方の妻は35.2%から26.2%に減っている(博報堂、家族調査2008)。
妻に寄り添いたい夫と、夫に冷たい妻という関係が明らかだ。

実際、健康づくりの講演会で聞かれる中高年の女性たちの夫に対する声は、かなり辛口である。
「一泊旅行を計画しても夫の食事のことを考えると気が重くなる」
「急な雨で洗濯物が心配で帰ってみると、案の定取り込んでいない」
「タバコの灰皿が山のように盛り上がっているのにきれいにしない」
「トイレを汚してもそのまま」
「買い物に行っても自分だけ書店にいってしまう」
「昔の仕事の自慢話を何度も繰り返す」
「1日中テレビのリモコンをいじっている」
「プライドが高くて運動を勧めても無視する」
「ダイエットの話をすると小馬鹿にする」
そして、最後は異口同音に、
「もう諦めている、一応面倒は見るつまりだけれど、何も期待しない、
場合によっては離婚も選択肢の一つ」と締めくくる。

一日中ソファーに横になり、丸いお腹をさすり、テレビのチャンネルを回し続ける姿を見て、
あなたの奥さんは「この人ってこんなに魅力がなかったかしら」
「これから何十年も面倒を見ていくのかしら」とため息をついているのだ。
今後も経済的な悩みが軽くなれば、
「生活はつつましくとも、後半生は伸び伸びと生きたい」と願う妻が増え続けることは間違いない。
孤独な後半生を送りたくなかったら「風呂、飯、寝る」の生活態度を改め、
男も率先して家事に参入すべきなのだ。

妻の苦手な家事を率先して引き受ける
妻は夫にどのような家事をやってもらいたいと思っているのだろうか。
夫がやってもいい家事ランクの「1位は窓ガラス掃除、2位は風呂掃除、3位は食材料の買出し」だが、
妻が夫に望む家事ランクは「1位は風呂掃除、2位は換気扇の掃除、3位は窓ガラス掃除」
という調査がある(NIKKEIプラス1)。

基本的に妻が夫に望む家事はきつい掃除、
換気扇や空調照明器具などの高いところの掃除、力を必要とする掃除である。
加えて、ゴミ出し、布団干し、食器洗い、簡単な食事作りなどの家事をこなせるようになれば
一人前だということ。

離婚危機を回避し、後半生を夫婦円満、ハッピーに過ごしたいなら、
まずは妻の嫌がる家事を率先して引き受けることが好感アップにつながる早道なのだ。

「ごろごろしているならお風呂掃除くらいしてね」と頭ごなしに言われると、つい腹が立つが、
先手を打って、ニッコリ笑って「もう風呂掃除はしておいたよ」とくれば、奥さんも思わずニッコリするはず。

家事はながら運動の宝庫
それでも家事は苦手という男も多いことだろう。そんな場合は家事に対する発想の転換をしよう。
ややこしい話だが、男が新たな世界に一歩踏み出すには、
それなりの手続きと理論武装も必要だということだ。

家事ながら運動などというと「ナニ、ソレ」と斜めに見がちだが、家事は、
思いのほか体に負荷がかかる運動なのだ。

例えば安静状態を「1」としたとき、ウォーキングで「3倍」、野球で「5倍」、
ジョギング・テニスで「7倍」の運動強度だが、一方、家事では、床掃除「3.5倍」、
草むしり・雑巾がけ「4.5倍」、家具の移動整理「6倍」、布団干しに階段を上る「9倍」という運動になる。
家事はエアロビクス、筋トレ、ストレッチ運動の組み合わせで、
ダイエット効果抜群のクリエイティブなエクササイズなのだ。

「健康づくり、メタボ解消のために、もっとも効果が上がり、継続できる運動を客観的に取捨選択した結果、総合点で家事ながら運動がダントツであった」などと、それらしい筋道をつくりあげよう。

中高年の健康づくりは「よし、走るぞ!泳ぐぞ!」ではなく、肩の力を抜いて、さりげなく、
なにげなく掃除することからスタートが一番。

シニア夫婦にとって「家事ながら運動はかすがい」だと心得よ。


<長野茂講師のコラム バックナンバー>

Vol.8 ながら運動はグローバル−NEATを高めよう

Vol.7 ながらスクワットでやせ体質に改造

Vol.6 温故知新の健康観

Vol.5 ながら運動は、最良のストレス解消術

Vol.4 メタボを確実に仕留める!「5to10」の法則

Vol.3 日常ながら運動を生活習慣にするためのポイント
Vol.2 ながらの達人を目指し、メタボな人生に別れを
Vol.1 なぜ、いま、日常ながら運動なのか



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