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川村 透のコラム「もののみかたを変えてみませんか?」
川村 透
川村 透(かわむら とおる)
新しいものの見方提案/モチベーティブ・スピーカー/自信の湧く講師

外資系コンサルティング会社に7年勤務。「自分にしかできないことをやってみよう」と退職し、2000年7月に独立。現在は、「もののみかた」「モチベーション」を切り口とした講演やセミナー、本の翻訳および執筆活動に日夜奮闘中。

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Vol. 21 『迷路のような病院』
(2009年06月05日)

 先日、とある地方の病院で職員研修をする機会に恵まれました。こちらの病院は、一般外来からデイケア、老健施設、緩和ケアとたくさんの施設を抱えています。そして建物も、増床増床を繰り返し、階段あり渡り廊下あり、とても入り組んだ形になっています。私も最初訪れたとき、「なんだか迷路みたいだなあ」との印象を受けました。

 最近の研修では、前半に「ものの見方」の基礎を、そして後半に実践トレーニングをする構成が多いのですが、この日も後半に「では、職場の問題点をいくつか挙げてみてください」とグループワークを実施。すると案の定、たくさんの問題点が出てきました(これはこれでガス抜きの意味はあるものです)。給与が安い、人手が足りない、引越しが多い...。そしてその中におもしろいものがふたつありました。

 ●建物が複雑で、しょっちゅう患者さんに道をきかれる
 ●階段の段差が違ったり、道幅、床の材質などが違ったりして歩きにくい

 さて皆さんなら、これらの問題を、プラスに変えたり、何かのきっかけにしようとしたならば、どんな視点が思いつくでしょうか。

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 私がひそかに胸のなかで思った答は「病院を一日地域に開放して、迷路館にする」(すみません、現実的でないことは承知ですが、あくまでも見方を変えるトレーニングとしてです)。複雑な建物は、迷路という視点で見れば強みになる。宝探しとか、そういうカテゴリで考えると、むしろ複雑なほどおもしろいのですから。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

5分後、研修の場で、あるグループの手が上がりました。彼らの答はこうです。
「しょっちゅう道を聞かれる、ということは、患者さんからコミュニケーションのきっかけをもらっている、ということでは?」
「段差が違ったりするのも、リハビリのオプションが豊富にあると考えれば?」

 う~ん素晴らしい(拍手)!この現実的かつ斬新な発想、なんて切れ味がシャープなんでしょう。なるほど、確かに『道を聞かれる=忙しいのに迷惑』でなく『道を聞かれる=会話のきっかけをもらっている』とすれば、職員にとって、こんなに恵まれた病院はないのでは?これを逆に利用して、日本一患者との会話が多い病院とうたってもいいぐらいです(笑)。また『段差が多い=不便』でなく『段差が多い=より実生活に近い環境』と考えれば、院内でこれほど様々な歩行訓練のコースがあるところもないのでは?
 こうした見方を見つけた瞬間、皆さんの顔がキラッと輝きます。そう、現実は何も変わっていないのに、見方が変わっただけなのに。この瞬間を味わってしまうと、やめられないですね。

 もちろん見方を変えただけですべての問題が解決するわけではありません。しかし、こうした「視点を変える力」が身につけば、きっと日常の業務でも、行き詰まり感が減り、不便さや短所を楽しみや強みに変えることができると思うのです。




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